歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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日本音楽の流れⅢー三味線-を聞いてきました

先月のお話ですが、国立劇場小劇場にて

国立劇場第一八九回邦楽公演 日本音楽の流れⅢ 三味線

を聞いてまいりました!

詳しいことは割愛いたしますが、感想の一部をメモしておきたいと思います。

三味線のさわりを発明なさった方に感謝

「日本音楽の流れ」とは、

日本の伝統音楽の歴史的な展開や多彩な広がりの理解のための公演。

各楽器ごとにスポットライトを当て、実際の演奏を通して、

時代ごとジャンルごとのさまざまな味わいを堪能するというシリーズ公演であります。

 

今年のテーマはこのすえひろも大好きな「三味線」ということでお誘いいただき

琉球三線・地歌三味線・長唄三味線・清元三味線・義太夫三味線といった基本形から

古近江、豪絃や津軽三味線、ごったんなどといった多彩な広がりを堪能してまいりました。

 

特に長唄三味線・清元三味線・義太夫三味線は、

歌舞伎の舞台でもおなじみの音ですね!

琉球三線、地歌三味線のクリアな音と続けて聞き比べてみますと

長唄・清元・義太夫三味線の一の糸の音にはビーーーーーンという

独特の反響が加わっていて「ああ、これこれ!」という思いがしました。

 

ビーーーーーンというあの音は、

三味線の上駒から一の糸を外す、ねじで調節するなどしてあえて加えられたノイズ、

「サワリ」というものなのだそうであります。

 

「サワリ」の存在そのものは聞いたことがあっても、

生の演奏で聞き比べてみる機会はなかなかありませんので、非常に貴重な体験でした。

この「サワリ」があるからこそ、まるで人間の声のように

浄瑠璃の世界を生き生きと描き出せるのだなと大納得いたしました。

 

特に義太夫三味線は、

鉛の打ち込まれた駒と太い竿、大きな撥と胴によってサワリの音がより一層増幅、

体中の細胞一つ一つの水分がビーンと一斉に震え、

その残響とともに心も揺さぶられるように思います。

 

このすえひろはエレキギターやエレキベースの音も

体中の細胞の水分がビーンと揺れるようで大好きなのですが、

義太夫三味線にも似た要素がたくさんあったから好きなのだと感激しております。

よく「魂が震える」などといわれる感覚というのは、

まさにこういったことなのではないでしょうか。

 

 

歌舞伎の舞台で活躍する音楽にあえて加えられたノイズ「さわり」があること、

なんとも奥深い意味を持っているように思います。

またしてもこの先しばらく考察しつづけられそうなテーマに出会うことができ、

うれしい限りであります。

 

来年も開催されると思われる「日本音楽の流れ」

次は何の楽器かなあと楽しみにしております!

 

国立劇場では歌舞伎公演以外にもさまざまな邦楽公演が開催されていますが、

今回のようなレクチャー付きの親しみやすい公演も時折あるようです。

歌舞伎において邦楽はなくてはならない存在ですので、

邦楽のみで味わってみることも芝居見物のお役に立つはずであります。

ぜひにとおすすめいたします!

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