歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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六月をふりかえり… 2019年

早いもので六月ももう終わり…

この6月でこのブログも7年目に突入いたしました!

7年目といえば生まれた子供が小学校に上がるかなという頃合い、

重ねた月日に自分でも驚き入る次第ではございますが今後とも何卒、

ご贔屓お引き立てのほどひとえに希い申し上げ仕りまする。

 

さて今月は歌舞伎座の六月大歌舞伎が昼の部夜の部ともに濃密で

芝居の楽しいひと月を過ごすことができました。

 

やはり最も記憶に刻まれているのは

仁左衛門さんが忠兵衛をお勤めになった昼の部「封印切」であります。

これまでこのすえひろは忠兵衛という人物がよくわからず、

なんだか納得のいかぬものだなあ、ダメなやつだなあと思っておりました。

 

しかし八右衛門の悪口を聞いている後姿のちょっとした角度やキセルを持つ手、

カッとして自ら封印を切った後の呆然とした数秒の間や

セリフごとの声のかすれ具合、そして小判の散らばる涼しげな音まで、

舞台の上で起こっていること全てによって

忠兵衛の心の動きに納得することができたのです。

 

特に出自を馬鹿にされ「わしは金のあるのが因果、お前は金のないのが因果、

金のないのは首もないのも同じこっちゃ」と言われたとき

悔しさとも怒りともつかない感情で自分の心までもがツーンと痛みました。

 

これまでこの役を、ただ頼りないダメな男性だと思っていましたけれども、

ひとつの芯が通った立体感のある人間であるということに

仁左衛門さんのお芝居によって気づかせていただけたことは一生の宝であります。

 

今後何度も封印切を別の配役で見ることがあると思いますが、

こうして納得できたのと納得できないのとでは楽しみの度合いは雲泥の差であり

一生持って行ける豊かな経験となったなと深く感じ入った次第であります。

 

 

また、勘九郎さんが主演を務めていた

大河ドラマ「いだてん」の第一部金栗四三編が最終回を迎えましたね!

回を追うごとにおもしろく、毎週何度も夢中で拝見しておりました。

特に思い入れを持っていた登場人物のシマさんのエピソードは、

涙なしには見られませんでした。

 

「大地」以降で描かれた大正12年の関東大震災は、

ドラマの舞台にもなっていた東京下町を故郷とするこのすえひろにとっても

祖母の被災体験を何度も聞いて育った身近な震災であります。

 

祖母から聞いていただけの惨状が映像と噺で生々しく描かれて、

人間の儚さとたくましさの双方に胸を打たれました。

 

100年近くの時を経て復興した東京で芝居見物ができる幸せをかみしめております。

今日からスタートした阿部サダヲさん主演の第二部田畑政治編でも

引き続き勘九郎さんはご出演、どのような展開になるのか楽しみですね!

 

来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。

楽しみに今日は休みたいと思います。おやすみなさいませ。

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