歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

【読書録】NHKテキスト「100分de名著 平家物語」

いまだ劇場の幕は開きませんが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

すえひろはといえば緊急事態宣言下から引き続きもりもりと読書を続けております。今後もこの習慣を続けられるよう努力したいと思っています。

読んだ本の中からおもしろかったものやお役に立ちそうなものを、備忘録を兼ねてご紹介いたします。何らかのお役に立てればうれしく思います!

NHKテキスト「100分で名著 平家物語」

今回は通常の読書と少し趣向を変え、NHK番組の放送内容をより深めるための手ごろな出版物「NHKテキスト」を読んでみました。2020年4月に発売されたばかりの名著読み解き番組「100分de名著平家物語の回のテキストです。 

『平家物語』 2020年5月 (NHK100分de名著)

『平家物語』 2020年5月 (NHK100分de名著)

  • 作者:安田 登
  • 発売日: 2020/04/25
  • メディア: ムック
 
テレビ番組「100分de名著」とは

そもそも「100分de名著」とは、一度は読んでみたいと思う古今東西のあらゆる名著を、25分番組×4回=100分の放送で読み解いていく…というNHKEテレの番組。

タレントの伊集院光さんと安部みちこアナウンサーが案内役をお勤めになり、題材の名著にまつわる識者の方が指南役で登場します。名著の内容はかいつまんで映像作品化されるのですが、アニメであったり俳優さんによる朗読であったりと名著によってスタイルが異なり、それらのマッチングも楽しみのひとつであります。

なかなか遭遇できないものの好きな番組で、気になる書籍が紹介されているらしいぞと気づいたときにはなるべく見るようにしています。

 

そんな「100分deで名著」で2019年5月「平家物語」の回が放送されたそうで、能楽師の安田登さんが指南役をお勤めになりました。さらにこの5月アンコール放送があり、それに伴ってNHKテキストも改めて発行された…という経緯のようです。

ご紹介しておいてこんなお話もないのですけれども、残念ながらこのすえひろは「100分de名著 平家物語」の本放送もアンコール放送も見逃してしまいました…。

再放送の最終回の最後だけチラリと遭遇できたのですが、どうやら名著の映像作品部分が安田登さんによる謡で構成されていたようでして、これからNHKオンデマンドで拝見しようと思っています。各回110円とお手頃ですのでみなさまぜひチェックなさってみてください。

テキストの「100分de名著」

さて、本題の番組のテキストのお話に戻りたいと思います。

「番組を見ていないのにテキストを読んでも…」と思われるかもしれませんが、これがそんなことはございませんで非常に役に立ちます!

 

100分de名著」はただ単に名著の内容を網羅的に解説するだけではなく、必ず現代社会を生きる我々にとっての共感ポイントを紹介してくれる番組です。

ですのでこのテキストは、①理解しやすくなる共感ポイントを押さえつつも、②長い長い平家物語の全体の内容をざっくりととらえることができる、しかも③たった120ページの薄さで…という素晴らしい一冊なのであります。

用語の解説や挿絵もついていて、ちょっとしたメモを書き込むスペースなどもあり、524円+税というお手頃価格です。Eテレさすがであるなと思いました。

 

テキストの内容はざっとこういったものです。

序:「鎮魂」の物語としての平家物語

1:全体のあらすじ+清盛&重盛の対比(鹿ケ谷の陰謀まで)

2:清盛の最期とリーダー論(橋合戦、頼朝挙兵、富士川の合戦など)

3:平家物語と運命論(俱利伽羅落、義仲の最期など)

4:平家滅亡に至る三大合戦(敦盛最期、壇ノ浦の合戦など)

 

歌舞伎にも登場するエピソードがもりもりと盛り込まれていますので、読んでいるとついついエモーショナルになってしまうのですが、能楽師の安田登さんに読み解かれた平家物語は非常に神秘的な味わいであることに驚き、自分の中で視点が広がっていくのを感じたのであります。

歌舞伎と能の対比という意味でも非常に興味深く、大変おすすめの一冊です。

 

平家物語は多くの演目の元ネタとなっていて、さらにそれらの演目が大好きであるため、改めて学びなおしたいなあとかねてより思っておりました。まとまった時間の取れる今こそチャンスと思い、何冊か購入した書籍のなかのひとつです。

他にも購入した書籍を積読しておりますので、追って読み進めて参りたいと思います!

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.