歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

ストリートビューで歌舞伎ゆかりの地に行ってみた  仮名手本忠臣蔵 五段目 編

いまだ劇場の幕は開かぬ昨今、Googleストリートビューで芝居の舞台となった場所とその周辺を訪ねてみることが数少ない楽しみのひとつとなってまいりました。

本日もひとつ訪ねてみようと思いますので、みなさまもぜひご一緒にいかがでしょうか。事情があり画像そのものを貼ることができず地図埋め込みとなりますが、何卒ご了承くださいませ。

 

先日、国立劇場youtubeチャンネルで公開されていた文楽「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」の映像を拝見し、中村仲蔵スタイルの斧定九郎はやはりカッコいいなと実感いたしました。ですので、今日は「仮名手本忠臣蔵 五段目」ゆかりの地へ行ってみるつもりです。

現在の山崎街道は一体どのような場所なのでしょうか。

前回:勧進帳 編

www.suehiroya-suehiro.com

仮名手本忠臣蔵 五段目とは

仮名手本忠臣蔵」は、時代劇などでもおなじみの赤穂浪士討ち入りをテーマにした全十一段にもなる長い物語。江戸時代から現在まで幾度となく繰り替えし上演され大人気の超ロングランヒット作であります。

五段目の場面の内容をざっくりとご紹介しますと…

「デートで主君の一大事に居合わせられなかった」というさむらいにあるまじき行為をしてしまった勘平は、現在恋人おかるの実家・山崎の与市兵衛さんのところに身を寄せて狩人などして暮らしており、山崎街道でたまたま行き会ったかつての同僚から討ち入りの情報を入手する。

おかるの父・与市兵衛さんはおかるの身を売ったお金で勘平を助けようと、まとまったお金を持って暗い道を歩いていたが、運悪く山賊に殺されてしまう。ちょうどそのときその周辺で狩りをしていた勘平は、イノシシと間違えて人間を撃ってしまう…

というもの。

「五段目で運のいいのは猪ばかり」という川柳があるほど、暗がりの中でつぎつぎに不運が連鎖しいく場面であります。

さっそく行ってみましょう

山崎街道はすなわち西国街道

全長15里もあるそうですがこのあたりからたどってみるとしましょう。 

 

石碑があり、石畳が街道の目印になっているようですね。

 

少し進みますともやもやの塊が。

写ってはならない巨大な何かがあったのでしょうか…気になります。

 

しばらくは立派なおうちの並ぶ風情ある住宅街が続きます…

芝居では鬱蒼と生い茂る藪のなかを抜けるような暗がり道でしたが、かつてはこのあたりも緑豊かな場所だったのかもしれません。勝手に山の中を想像していたのですが、そうでもなさそうです。

 

レトロな雰囲気の商店街が登場しました

 

関西の道を歩きますとこのような何か由緒ありげな建造物にちょこちょこと出くわすように思います。

たしか与市兵衛さんもお地蔵さまを拝んでいたような気がするのですが街道沿いにはポイントごとに手を合わせる場所があったのでしょうか。 

 

長岡京駅前の通りはぐっと近代的ですが、このまま西国街道をひた走ります。

 

駅の近くにもこうした風情のある建物がたくさん残っていて、昔のようすを想像しやすいのが京都の素晴らしいところですね。

東京の東地域にも歌舞伎ゆかりの地はたくさんありますが、関東大震災や東京大空襲などでほとんどが焼き尽くされてしまったこともあってか近代的な建物ばかりです。

 

商店街を歩いているとは無自覚なまま商店街の出口に到達しました

 

ここで西国街道の石畳はとぎれ、武骨なアスファルト道に代わります

 

あれっ…西国街道を見失いました

 

 

ちょっと進んでみたところにあった石碑をよく見ますと、「与市兵衛の墓」とあります。まさか…これはそういうことなのでしょうか…?

 

先ほどの石碑を手掛かりに普通の住宅街を進みます…

 

ありました!与市兵衛さんのお墓です!

長岡京市の公式ホームページによりますと、やはりここは仮名手本忠臣蔵の与市兵衛夫妻の戒名が書かれたお墓なのだそうで、参拝客が絶えないそうであります!

仮名手本忠臣蔵という作品がいかに愛されてきたかがよくわかりますね…

この芝居を生み守り育ててこられたすべての方に敬意を表し、バーチャルお墓参りをしてみたいと思います。

 

与市兵衛の墓の向かいには、やはりお地蔵さんらしき建造物があります!

もしかしたらこのお地蔵さんらしき建造物を目印に、与市兵衛の墓の位置を決めたのかもしれません。

ずっと住宅街が続きますので実際に出かけると本格的に迷ってしまいそうですが、事態が落ち着いた暁にはぜひこの地にも足を運んでみたいと思いました!

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.