日本全国、感染拡大の状況は悪化の一途を辿っているようで不安の募る毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。すえひろはといえば、なんとか健康に日々を過ごしております。
先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけて十二月大歌舞伎の第二部「心中月夜星野屋」・第三部「傾城反魂香」を拝見してまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためたいと思います。
又平夫婦に泣かされマスクを取り換える
第二部「心中月夜星野屋」は七之助さんのおたかに中車さんの照蔵、そしておたかの母のお熊には猿弥さんという配役で、楽しく拝見いたしました。猿弥さんの体のバネがものすごかったです!
「心中月夜星野屋」は古典落語の星野屋を基にした新作歌舞伎で、2018年の八月納涼歌舞伎で初演されたばかりと記憶していますが、愉快ながら変に現代風になることなく古典のごとくまとまっていて、「廓噺山名屋浦里」とともに未来の古典になりそうな予感がしてワクワクします。
そして第三部「傾城反魂香」は勘九郎さんの浮世又平に猿之助さんの女房おとくという配役です。これが本当に素晴らしい一幕でボロッボロと泣いてしまいました…。
勘九郎さんの又平の胸の内の見え方がとにかくリアルで、猿之助さんのおとくからそんな又平を思う気持ちがひしひしと感じられ、胸に迫りました。それでいて、ハートの熱さだけが前面に出てなんとなく感動してしまったというのではなく、義太夫狂言としての音楽的なおもしろさも味わうことができました。
近松はこの芝居で何を伝えたかったのか、一語一語を噛みしめながら味わえるような舞台でした。今後数十年にわたり、お二人の傾城反魂香を何度も拝見できたらいいなと願っています。
また雅楽之助をお勤めになっていた團子さんの姿も鮮明に記憶に残りました。今はまだ現代少年の体つきですが、今後年齢を重ね歌舞伎役者らしい肉付きになっていかれると素晴らしい役者さんに成長されるであろうなと楽しみに思います。
現在、感染者の増加がどこまで行ってしまうのかわからない状況にあり、このままでは再び劇場が止まってしまうのではないかという不安も頭もたげてまいりました。となれば経済的に危機的状況に陥ってしまうことは明白です。
現在困難な状況に置かれている方もたくさんおいでかと存じますが、そんななかで毎月芝居を拝見できるありがたさを身に染みて感じます。こうした状況にある自分は、事態が収束した際に芝居文化ができる限り元の形をとどめたまま残り、皆様とまた劇場で盛り上がることができるよう、自分にできることを精一杯頑張らねばと思います。
とはいっても自分にできることなど微々たる予算内で切符などを買ったり、こうして問わず語りをし続けることくらいしかなくもどかしく思いますが、何はともあれ気合だけは入れて頑張ってまいります。