今日の東京はぽかぽかと温かく急激に春めいたようすでしたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
このすえひろはといえばおかずの作り置きにはまってしまい、冷蔵庫をタッパーだらけにしております。日増しに味の沁みるおかずは野菜をたくさん取ることができ、なんだか健康に良さそうです。みなさまも何卒ご自愛くださいませ。
先日歌舞伎座へ出かけまして、二月大歌舞伎の第二部を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためたいと思います。
宝物のようなおふたり
第二部は仁左衛門さんと玉三郎さんのご共演による「於染久松色読販」と「神田祭」。
於染久松色読販は、土手のお六と鬼門の喜兵衛というワルな夫婦が悪だくみをして、油屋へゆすりかたりに出かけるというお話。神田祭は粋でいなせな鳶頭と艶やかな芸者のカップルによる舞踊であります。
どちらもあまりに興奮しすぎて記憶が飛びかけているのですが、とにかくもう本当にたまらない、たまらないにもほどがあるという第二部でした…。
「タニシの木の芽和えよ」という発言があんなにカッコよく聞こえることがあるのでしょうか。。あんなに美しい夫婦が猛烈におんぼろな家に暮らしていて、それでも完全に様になって見えるということがあるのでしょうか。。舞台の上にある空気そのものがもう本当にすごいとしか表現できない一幕でした。。
そしてそれに続く「神田祭」が本当にもう、ひゃーと声が出そうなラブラブぶりで、マスクをするのが当たり前になってよかったとつくづく思いました。中で存分ににやにやとできますものね。人様にはとてもお見せできない、すごい顔をして拝見してしまいました。
役者さんがよく「少しでも日常を忘れられる時間をお届けしたい」ということをおっしゃると思うのですが、この第二部では本当にすっかり忘れました。すっかりです。日々の憂さがぽっかりと抜けて、舞台の上のニザ玉カップルだけで脳内が満タンになるという体験ができました。
お二人のご共演が素晴らしいだけでなく、演目といい狂言立てといい、とにかくすべてが最高でした。お二人が舞台でご共演になっているその瞬間に、自分もこうして生きることができていることを、心からしあわせに思いました。
そして今夜は玉三郎さんがご出演の大河ドラマ「麒麟がくる」の最終回でしたね!
まだ録画を楽しみになさっている方もおいでかと思いますので詳細は控えますが、本能寺の変にはさまざまな説があるなか、物語として非常におもしろく、また美しい終わりであるなあと個人的には感じ、心震えました。もう一度最初から見返したいくらいです。
玉三郎さんの正親町天皇の神々しいほどの存在感が素晴らしく、お出ましになるたび画面にくぎ付けになりました。。おひげのある男性のお姿であっても、性別を超えて美しかったです。
昨年の「いだてん」に引き続き歌舞伎界の皆様が多数ご活躍であった「麒麟がくる」、一年間毎週楽しく拝見いたしました。役者さんお一人お一人の魅力をビシバシ感じた一年でした。しばらくロスが続きそうですが、来週からの「青天を衝け」も楽しみです。
「いだてん」のおかげで大河ドラマの視聴習慣が身に付き、日々の楽しみが増えたなあと思います。来週が楽しみ、というだけでも、生活に明るさが生まれます。物語というのは本当にありがたい発明ですね。
それはそうと、東銀座のデニーズが10日(水)で閉店してしまうそうです…。。東銀座のデニーズは、歌舞伎座や演舞場で働く方や観客が数多く訪れたお店かと思います。芝居と関連した思い出も深く、本当に残念でなりません。。
このすえひろももう10年近く、友人と芝居を観た帰りに寄ったり、幕見の開演までの空き時間を過ごしたり、日比谷で早朝から宝塚の当日券に並んだあと開演までの時間を過ごしたりしておりました。お店は広く、いつ行ってもゆったりとして清潔で、店員さんも長年お勤めの顔ぶれで感じが良く、大好きなお店でした。
「木挽町きやうげんづくし」の服をお召しの裏方さんや、舞踊関連と思しきお着物の方々の集まりなどお見掛けすることもあり、チェーン店ながら土地らしい風情がありましたね。コロナ禍にあっても密にならない広さが安心で、近頃もよく訪れていたので本当に残念です。
これもコロナの影響なのだと思います。そこかしこで少しずつ街が変わっていくのを感じます。苦しい時代ですがなんとか明日一日を生き延びていきましょう。