歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

京の年中行事 當る卯歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎を見てきました! 2022年

年の暮れも近づく日曜日、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

このすえひろはといえば京都から東京へ戻りました。今日は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の最終回とM1グランプリの決勝がかち合ってしまうというテレビっ子には忙しい一日でてんやわんやでした。

さて、昨日おとといと南座へ出かけまして京の年中行事 當る卯歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎の第二部を拝見してまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。

仁左衛門さんの松浦の太鼓

第二部は「封印切」と「秀山十種の内 松浦の太鼓」という狂言立てです。

封印切」は、鴈治郎さんの忠兵衛に翫雀さんの梅川、愛之助さんの八右衛門、東蔵さんのおえんという配役です。秀太郎さんのおえんさんを思い出しながら拝見しました。東蔵さんがとてもお元気そうで安心いたしました。

京都の年の暮れに見る封印切には格別の味わいがありました。芝居の中のちょっとしたおかしみに対する反応も、東京の歌舞伎座とは違った一体感があるように思います。南座の劇場空間のサイズもちょうどよく、自然に芝居の世界に入っていけました。

忠兵衛が去り際、何度もおえんさんの方を振り返るようすなどは、正直これまでやや大げさな用に感じていたのですが、この演出はこういった劇場の一体感のなかで発揮されるものなのだなと。

封印切では八右衛門の役が第好きなのですが、愛之助さんの八右衛門がたまらなくおもしろく、可愛げがあって憎めず、良い芝居を見たなあと思いました。来年は歌舞伎座でのご活躍をたくさん拝見したいです。

 

通づく「秀山十種の内 松浦の太鼓」は、仁左衛門さんが20年ぶりに松浦候をお勤めになり話題を呼んでいる舞台です!顔見世では毎年、仁左衛門さんがお出ましになったときのさざめきが格別ですね。南座ならではのあたたかなムードの中に身を置きますと、この上ない幸福感を感じます。

20年ぶりということでこのすえひろも初めて拝見するものでしたので、うれしさひとしおでした。仁左衛門さんの松浦候は、私が大好きな吉右衛門さんの松浦候とはまた違ったかわいらしさがあり、日ごろからこうして周りの人々を振り回しているのだろうなと想像させるようなわがまま感がたまらなかったです。「ばかばか!」とよくおっしゃるのも意外で、なんだかもう心をつかまれてしまいました。お側女のお話も色っぽく。

しかし、赤穂浪士の敵討に心を寄せていた本心を告げる様子などはぐっとシリアスで、芝居の核心はここにあるのだということがはっきり伝わってきました。これが芝居全体に品と格式をもたらしているのだなと唸らされた次第です。

歌六さんが17日より休演なさっていて、心配しています。16日には変わったようすはなかったようにお見受けしたのですが。大事ない事を祈っております。

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.