本日4日、東京半蔵門の国立劇場にて令和5年10月歌舞伎公演『通し狂言 妹背山婦女庭訓<第二部>』の幕が開きましたね!おめでとうございます!
いよいよ第一期国立劇場最後の幕が開いてしまったのだなあという寂しさや、今後どうなるのだろうという焦燥感にかられるとともに、大きな感謝の念も湧いてきます。素晴らしい思い出が詰まった劇場にきちんとお別れができるよう、私も心してこのひと月を過ごしたいと思います。
しかしながら菊五郎さんの休演というとても心配なニュースがありましたね。先日の俳優祭の最後のご挨拶にもお出ましにならなかったので、どうなさっているのか大変気がかりです。国立劇場では菊五郎劇団のお芝居を数多く拝見いたしましたし、ご本人もさぞやご無念なことであろうと想像します。どうか大事に至らず、またお元気なお姿が拝見できますようにと祈るばかりです。
第一期国立劇場は本当に見やすく過ごしやすい、素敵な劇場です。本当にラストチャンスですので、初めての方やお若い世代の方にもぜひにとおすすめいたします。
恋の悲劇「妹背山婦女庭訓」第二部
国立劇場さよなら公演の大詰は古典の名作「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」。9月に上演された第一部に続き、10月は第二部が上演されます。
妹背山婦女庭訓は、飛鳥時代のできごと「大化の改新」をモチーフとした物語です。いろいろと複雑な要素が絡んでくるのですが、歴史実録ではなく完全なフィクションですのでご安心ください。初めてご覧になる場合はとにかく「ハードモードなラブストーリー」であるという大枠を念頭に置いてご覧になることをおすすめいたします。
今月上演される第二部の目玉は三笠山御殿の場です。
お三輪という酒屋の一人娘が、好きな人を追いかけて追いかけて御殿に突撃してしまったところ、彼の正体は自分とは全く身分違いであり、決まった相手までいたと明かされる…というまさに修羅場といった場面であります。
場違いなお三輪はいじめられ、激しい嫉妬に狂い、とにかく散々な目に遭います。かわいそうです。「嫌われ松子の一生」のような。私などは、なぜにこの子はこんな思いをしなければいけないのかなあ…とこの演目を見るたび大変つらくなってしまうのですが、そのように思わされるのもまた役者さんの力なのだろうと思います。
今回は菊之助さんがお三輪をお勤めになります。国立劇場の幕切れにふさわしい素晴らしい舞台となるはずです。ぜひにとおすすめいたします!