歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。 歌舞伎歴10年の20代。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい河内山 その三 えらい人ほどおびえる職業とは

ただいま歌舞伎座で上演中の

秀山祭九月大歌舞伎

昼の部「河内山」は歌舞伎の定番といえる演目のひとつですので、

この機会に少しばかりお話いたします。

芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!

 

お数寄屋坊主とは?

河内山(こうちやま)というのは実は通称で、

正式なタイトルを天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)といいます。

スカッとして気持ちの良い七五調のセリフで知られる

江戸の名作者・河竹黙阿弥の作品であります。

 

本当にざっくりとしたあらすじは、

1、お数寄屋坊主の河内山が、

2、松江出雲守の妾にされそうになっている質屋の娘さんを取り返すために、

3、立派な使僧に化けて見事連れ戻した

4、実はお数寄屋坊主であるということがばれてしまったが、

5、見事に居直って「ばかめ!」とやりこめましたとさ

というものであります。

 

物語の大事な要素である「お数寄屋坊主」というものが

一体どのような方々であったのか少しばかりですが調べてみましたので

ごく簡単にお話したいと思います。

 

お数寄屋坊主というのはそもそも、お坊さんのことではありません。

江戸時代、幕府や諸藩では、茶室やお作法の管理をするための人を雇って、

お殿様たちにお茶を振る舞わせておりました。

 

禅のお坊さんたちが茶の湯の作法や茶道具の目利きをしていたことから

頭を剃ってそれっぽい雰囲気にして働かせていたので

茶坊主」または「お数寄屋坊主」などと呼んでいたのであります。

「坊主」と呼ばれる職業にはほかにもいろいろな役どころがあったのですが、

それはややこしくなりますので割愛いたします。

 

このお数寄屋坊主たちは身分も低く、待遇も良くはなかったのですが、

お茶を点てる仕事ですから自然と将軍やお偉いさんたちと接する機会が多くなります。

そうしますと聞かれては困るような超重要な話題も耳に入ることがあるでしょう。

そうなると当然、どこかにその話題が漏れる可能性が高まるわけなのであります。

 

お数寄屋坊主に下手なことをしてしまいますと、

腹いせに色々と漏らされたり、あることないことを言われる可能性があります。

そうなればただでは済みませんので、あまりにも危険な存在です。

ですから幕府の人々はお数寄屋坊主に非常に気を使い、手厚く扱っていたようです。

 

そんな待遇を逆手に取り、

こっちはあんなことこんなこと知ってるんだぞ!おらおら!とゆすり、

居直るような人がいてもおかしくはないというわけであります。

 

現代でも、このようなことは起こりうることですから、

なんともおもしろく感じます(´▽`)

 

参考文献:日本大百科全書/大辞林

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