歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。 歌舞伎歴10年の20代。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい阿古屋 その二 行方を追われる悪七兵衛景清

ただいま歌舞伎座で上演中の

十二月大歌舞伎

夜の部「阿古屋」は女形で最も難しい役の一つといわれるもの。

舞台の上で琴、三味線、胡弓を実際に演奏しながら複雑な心情を表現します。

Aプロでは人間国宝である玉三郎さんが

Bプロでは20代、30代の若手女形梅枝さん・児太郎さんがお勤めになっています。

大変貴重な機会ですので、少しばかりお話したいと思います。

芝居見物のたのしみのお役に立てればうれしいです!

悪七兵衛景清はどこに…?

阿古屋(あこや)壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)という

全部で五段ある芝居のうちの三段目にあたる部分です。

 

壇浦兜軍記はもともと人形浄瑠璃の作品であり、

1731年(享保17)9月に大坂は竹本座にて初演されました。

これが評判を呼び、すぐに歌舞伎化されたということです。

 

本当は五段あるはずなのですが、

現在はもっぱら三段目の「阿古屋」(阿古屋の琴責)の部分が上演されるので、

阿古屋」という呼び名で通っているわけです。

 

とても静かな演目ゆえ、初めてご覧になる場合は

一体どういった状況なのかということがわかりにくいかもしれません。

ざっくりと演目の前提についてお話いたします。

 

ながらく争っていた源氏と平氏でしたが、

壇ノ浦の合戦で源氏が勝利し、平家の一門は多くの人が亡くなり滅亡しました。

とはいえ生き残った残党もいるために何をされるかわからず、

いま源氏はその行方を追っている…という状況です。

 

残党の中でもかなりデンジャラスな人物が

悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)です。

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国立国会図書館デジタルコレクション

この人は非常に強く暴れん坊な怪力男であり、

今も頼朝の命を狙っているであろうことは明らかだったので、

源氏方は京都堀川の評定所で厳しく残党を詮議していました。

 

そんな景清には京都五條坂の遊女・阿古屋という愛人がいました。

阿古屋景清の子供を身ごもっているという女性です。

堀川御所の秩父庄司重忠岩永左衛門も、

この女さえ厳しく詮議すればきっと景清の行方が知れるだろうと思っているわけです。

 

と、そこへ取手たちに囲まれながらやってくる阿古屋

これから厳しく詮議をされて拷問にもかけられる可能性があるとは

まったく思えないような、それはそれは豪華な出で立ちです。

これは単に遊女のアイコンとしての衣裳ではありません。

私は英雄・景清の恋人なのである、こんな尋問には負けない!という

阿古屋の強い心持を表しているのです。

 

長くなりましたので、次回に続きます…

参考文献:新版歌舞伎事典

新版 歌舞伎事典

新版 歌舞伎事典

 

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