ただいま国立劇場で上演中の
通し狂言 仮名手本忠臣蔵!
今月は大序から四段目までを上演中です(人'v`*)
仮名手本忠臣蔵は江戸時代から今に至るまで愛され続ける名作であり、三大狂言のひとつにも数えられる重要な作品ですので少しばかりお話してゆきたいと思います。
よろしければお付き合いくださいね(´▽`)
仮名手本忠臣蔵は元禄年間に実際起こった赤穂浪士の討ち入り事件が元ネタですが、作品ができた当時はこのような事件をそのままお芝居にしてしまうと政治批判と受け取られ幕府に叱られてしまう厳しい時代でした(・_・;)
しかしやはり実際の事件をもとにしたお芝居は人気があるので、いかにお咎めを受けずにタイムリーな事件をお芝居にするか…というアイデア勝負でたくさんの脚色作品が生み出されています。
仮名手本忠臣蔵では、物語の世界を「太平記」の南北朝時代に移し、登場人物の名前もそれに合わせて変更することで、露骨ではありますがなんとかぼかされています。
では、忠臣蔵で最も重要な登場人物を挙げてみますね(o´v`)ノ
浅野内匠頭=塩冶判官
松の廊下で刃傷事件を起こし即日切腹に処せられた浅野内匠頭。
この人をモデルにして作られた役が
塩冶判官(えんやはんがん)です!
普段歌舞伎を見ない方と本当の忠臣蔵の話をしている時にうっかり「そうそう、塩冶判官がね!」と言ってしまい、「塩冶判官?へ?誰それ?(・_・;)」となってしまうというアクシデントは何度も経験しております(ノv`*)
「太平記」に描かれた塩冶判官高貞という人物に仮託して作られた役柄なので、浅野内匠頭だけでなく塩冶判官高貞のエピソードも盛り込まれているのがおもしろいところです。
塩冶判官の判官は「ほうがんびいき」の判官と同じ字ですが、「はんがん」と読みます。
古典芸能の話題で
「ほうがん」と言えば源義経
「はんがん」と言えば塩冶判官
を指す、と覚えておきますと芝居仲間の会話のヒアリングはばっちりです(´▽`)
吉良上野介=高師直
浅野内匠頭が松の廊下で切り付けてしまう、まさに忠臣蔵の敵役というのが吉良上野介ですよね。
この人をモデルにして作られた役柄が
高師直(こうのもろのお)です。
史実では足利尊氏に従った南北朝時代の武将ですが、「太平記」では大変な好色者で塩冶判官の妻にラブレターを送りお風呂を覗き見し、果ては判官を死に至らしめるという、とんでもない人物として描かれているようです(・0・;)
仮名手本忠臣蔵でも、この高師直は横暴で好色で賄賂が大好きな人物として描かれています。
この人の強烈なキャラクターがあるからこそ、塩冶判官の敵を討ちたい!という浪士たちの志に共感できるのかもしれません。
大石内蔵助=大星由良之助
主君浅野内匠頭の無念を晴らすため、吉良上野介家に討ち入った大石内蔵助。
この人をモデルにして作られた役柄が
大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)です。
「太平記」には該当の人物がおらず大石内蔵助の名前をもじってつけたようですが、
こんなに露骨では幕府に叱られてしまうのでは…(・_・;)と不安になるほどわかりやすいネーミングですよね。
仮名手本忠臣蔵ではこの役が主役で、座頭と呼ばれる熟練の役者が勤めます。
その男ぶりに心が震え、浪士としてついていきたくなるような由良之助ですと大変評判になります(´▽`)
ここまで忠臣蔵のメイン3役の仮名手本忠臣蔵バージョンをお伝えしてきました。
次回はいよいよ物語の内容にふれてゆきたいと思います(人'v`*)