ただいま歌舞伎座で上演中の吉例顔見世大歌舞伎では新芝翫・新橋之助・新福之助・新歌之助の襲名披露狂言として、昼の部で「祝勢揃壽連獅子」を上演中です。
その二では「獅子」という伝説の生き物について、またそこから作られたたくさんの「石橋物」という演目についてお話してきました。
石橋物といえばやはり気になるのはあの衣裳・・・
今日は獅子の衣裳について、少しお話ししたいと思いますのでよろしければお読みくださいね。
能装束がルーツ
連獅子、鏡獅子、といえば歌舞伎をあまりご覧になったことのない方もこのスタイルが頭に浮かぶのではないかなと思います。
白や赤の長い毛を頭に付け、太い袴のようなもの立派な法被を付けた豪華な衣裳ですね。
これはこの石橋物のルーツである能装束を模して作られたものだと言われています。
今月上演中の「御浜御殿」の最後に綱豊が身に着けているようなものですね。
実は、能から歌舞伎へ取り入れられた初期のころにはこのような雄々しい姿ではなく、女形の姿のまま長い毛を後ろに垂らした扇笠を被って獅子としていたようです。
能の高尚さを取り入れようとした幕末から明治にかけ、能装束を模した衣裳が作られるようになったのだといいます。
気になるのはやはり頭
あの白や赤のふさふさの毛はなんと、
チベットなどに住むウシ科の動物・ヤクの尻尾から取った毛で作られているんだそうです!
長さは6尺(約1メートル80センチ)ということで、相当な重みがあるのではないかなと思います。
ただ付けているだけでも大変そうなものを歌舞伎役者の方々はさらに振り回して踊るわけですから、もはや超人です・・・!
そんな迫力満点の毛振り・・・今月はなんと4匹もの獅子が荒れ狂うということで
舞台の上はそれはもう見たこともないほどに華やかで勇壮なものだろうなと夢想しております。
本当に珍しい一幕ですので、ぜひお出かけくださいね!