先日もお話したように空前絶後の大ヒット作である仮名手本忠臣蔵は、
様々なサイドストーリー的演目を生み出しました!
そういった演目のことを「忠臣蔵物」「外伝物」などと呼びます。
1月の歌舞伎座でも、忠臣蔵外伝が上演されていました。
それは夜の部の最後の幕に上演されていた「松浦の太鼓」です!
今日はこの「松浦の太鼓」について少しお話したいと思います。
ざっっっくりとしたあらすじ
この演目はとてもわかりやすいお話ですし上演も終わってしまいましたので、
今回は色々なものを端折りながらごく簡単にお話します!
1.討ち入りの前日。元赤穂浪士の大高源吾と俳諧師の宝井其角がばったり会いますが、大高源吾はしょぼくれていて討ち入りする気配もありませんでした。
2.ところは変わって吉良上野介のご近所・松浦鎮信のお屋敷。風流人の松浦候は、今日も宝井其角を招いて句会を楽しんでいます。
3.松浦候は「赤穂浪士は吉良邸にいつ討ち入るのかなぁ」と毎日ワクワクしていますが、なかなか起こらないのでつまらないなぁと思っています、
4.するとどこからともなくトン!トントントントントン…と特殊なリズムの太鼓の音が聞こえてきました。
5.松浦候はその太鼓の音を聞きつけ「これは大石内蔵助の叩く太鼓だー!討ち入りだ討ち入りだー!!」と大喜びします。
(イメージ)
6.大高源吾は松浦候の屋敷に駆けつけて、討ち入りの様子を話しました。
8.「でかしたぞー!」でめでたしめでたし、そして幕。
…といったようなものです。
江戸から大阪へ
先日お話した「元禄忠臣蔵」は昭和初めに作られた近代の作品でしたが、
「松浦の太鼓」はもともと江戸時代に作られた土台を基にしたものです。
もとは1856年(安政3)に江戸の森田座で初演された
「新台いろは書初」という演目の中の一つの場面でした。
その後この作品は題名を変えて改作され、明治時代の大阪で上演されています。
その改作された作品の中から松浦候と陣太鼓のエピソードを抜き出して
「松浦陣太鼓」という題名で大阪で上演されたのが現在の「松浦の太鼓」であります。
江戸から大阪へと旅して、大阪で完成した演目なんですね
松浦候のもつソフトな可愛らしさというのは確かに、上方の風情のように思います。
あらすじは雑に端折ってしまいましたが、
本当はとてもとても重要な伏線が張られているのです。
それについてはまたの機会に改めてお話いたしますね。