今月歌舞伎座で上演されている秀山祭九月大歌舞伎!
昼の部「道行旅路の嫁入」について、少しばかりお話いたします。
なんらかのお役に立てればうれしく思います(人'v`*)
仮名手本忠臣蔵の八段目
舞踊「道行旅路の嫁入」は、三大狂言のひとつ仮名手本忠臣蔵の八段目にあたる部分であります。
仮名手本忠臣蔵を詳しくご説明しようとするとかなり長くなってしまうので割愛いたしますが、
この日のブログを読んでいただければざっくりとした流れをわかっていただけると思います。
カッとなりやすい正義の人・桃井若狭之助の家老である加古川本蔵は、
高師直(いわゆる吉良上野介)に賄賂を贈ってまで主君を守ろうとしました。
一方で高師直によって切腹に追い込まれた塩冶判官(いわゆる浅野内匠頭)のお家は断絶!
家老・大星由良之助(いわゆる大石内蔵助)は、息子の力弥と共に浪人の身となってしまったのでした…
実は加古川本蔵の娘・小浪はこの力弥のフィアンセであります。
浪人となってしまい、討入をして命を落とすことも容易に想像できる力弥。
あまり嫁がない方が良い相手なのですが、小浪はこんなことになってしまった今でも力弥に恋い焦がれているのです(;_;)
この「道行旅路の嫁入」は、本蔵の後妻である戸無瀬が小浪を連れて、
大星の閑居がある山科へ向かって東海道をはるばる旅している…
という場面を描いていた道行舞踊です。
この後起こる出来事は仮名手本忠臣蔵の九段目で明らかになります。
戸無瀬は小浪の願いをどうにか叶えてあげたいと思い、
二人の祝言のようすや子供が生まれることなどを思い描いたりしながらも
不安や寂しさを募らせながら東海道を旅しているわけです。
女性2人が急いで歩く距離としてはどう考えても遠すぎると思うのですが、
小浪が本気で惚れてしまっているので仕方がないのです。
「仮名手本忠臣蔵」という字面だけを見ると
男臭いさむらいばかりがぞろぞろ出てくるお堅いイメージがあるのではと思います。
しかし実際はそんなことばかりではなく
「惚れた男のためならどうなっても構わない!」という猛烈な情熱を持った
恋に生きる女性も登場するのがおもしろいところです(´▽`)
機会があれば、ぜひ本編もご覧になってみてくださいね(人'v`*)