歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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KAAT竹本駒之助公演第十弾 『義経千本桜』三段目切「すしやの段」

今日は横浜のKAAT神奈川芸術劇場に出かけ、

KAAT竹本駒之助公演第十弾

『義経千本桜』三段目切「すしやの段」

を堪能してまいりました!

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女流義太夫そのものは邦楽鑑賞会で何度か体験しておりましたが

人間国宝の竹本駒之助さんの語りはこれまで一度も拝聴できずにおり

たまたま芝居仲間にこの公演を教えていただいてようやく叶った次第です。

 

いがみの権太の弁慶格子をあしらった肩衣をお召しの駒之助さんは御年82歳。

お一人で語りあげる「すしやの段」は、

一時間半かそれ以上かの非常に長い場面であります。

しかしながらその時間の長さを感じることは一切なく、

床本にも目を落とさず夢中になって聞きました。

気迫、可憐さ、おかしみ…登場人物のすべてが生き生きとして

今まさに目の前で起こっている事件を見るような体験です。

あまりのことに劇場を離れた後も放心しつづけ、

ガーンと頭を打たれたように圧倒されてしまいました。

 

この感動はひとくちではとても表現できず、

これまで見た人形浄瑠璃や歌舞伎の舞台で感じたこと全ての結晶のようなもの、

先人たちの描いてきた「すしや」の世界の結晶のようなものが、

駒之助さんの語りの一粒一粒、そして津賀寿さんの三味線の一音一音から

自分の体に猛烈な勢いで注いでくるような体験です。

 

語りは言葉でありながら言葉を越えて

三味線は楽器でありながら音楽をはるかに超越し

もはや「物語」「芝居」という枠組みすら吹き飛ばしてしまう

浄瑠璃という文化は本当に偉大なものだと改めて感じました。

 

こんなにすごいものを感じられるなんて、

それを同じ空間で受け取ることができるなんて…と 

あまりの感動にこのすえひろは心底、この世に生を受けてよかった、

今日まで生きていて、しかもこの国の伝統芸能を好きになれて、

本当によかった。幸せだ。と心の底から思いました。

今日のことは一生忘れられないと思います。

 

明日の当日券も若干あるとの情報が。

少しでもご興味をお持ちの方にはぜひとも、ぜひともご覧いただきたいと思います。

どうぞ劇場へお問い合わせください!!

www.kaat.jp

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