ただいま歌舞伎座で上演中の
團菊祭五月大歌舞伎
十二世市川團十郎五年祭
十二代團十郎さんがこの世を去られてから五年の追善として
ご子息の海老蔵さんが当たり役をお勤めになり
團十郎さんらしく明るく華やかな興行となっています!
明治時代の名優・九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の
功績をたたえる興行である團菊祭。
江戸の風情を描き出す生世話物を得意とした五代目尾上菊五郎の出世芸となった、
夜の部「弁天娘女男白浪」について少しばかりお話したいと思います。
芝居見物のたのしみのお役に立てればうれしいです。
日本駄右衛門のモデルはイケメン?
弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
通称・白浪五人男には魅力的な5人のどろぼうが登場します。
そのリーダー的存在が日本駄右衛門(にっぽんだえもん)です。
今月は海老蔵さんがお勤めになっていますよね!
そんな日本駄右衛門には、モデルとなった実在の大どろぼうがいます。
名を浜島庄兵衛(はましましょうべえ)といって、
「日本左衛門(にほんざえもん)」という異名で知られ
現在の浜松を中心に大勢の手下を率いて盗みを繰り返し、
東海道を荒らしまわったそれはそれはおそろしい大どろぼうだったそうです。
しかし詳しい人相書きとともにお尋ね者となり逃げきれずに自首。
1747年(延享4)に29歳の若さで処刑されています。
東京都公文書館に残されている人相書きによりますと、
・身長は五尺八・九寸
これは175センチを超えているそうですから、
男性の平均身長が155センチほどだったという江戸時代には
相当な大男であったと思われます。
・わりといい男
お顔だちは色白・面長。
鼻筋が通って目は切れ長、月代には切り傷があったそうです。
色白で目元が涼やかというと、近ごろはやっている塩顔男子を想像しますね。
・ファッションは強烈
さらに、服装まで記してあったそうです。
「琥珀織」という絹織物を赤っぽい黒に染めた小袖を期て、
異国情緒あふれる羅紗という布で作った萌黄色の鼻紙袋をぶら下げ、
鳥の蒔絵が施されたど派手な印籠まで持っていたといいます。
ファッションが個性的で、背が高くて、塩顔…
現代にいたらば相当にモテたのではないかなぁと思われます!
こちらが『豊国漫画図絵』の日本左衛門
出典:国立国会図書館デジタルコレクション - 豊国漫画図絵 日本左衛門
石川五右衛門さながらですが迫力にあふれカッコいいですね!
参考:東京都公文書館/歌舞伎登場人物事典
今月の幕見席