ただいま歌舞伎座で上演中の
歌舞伎座百三十年
六月大歌舞伎!
夜の部「夏祭浪花鑑」はスカッとするような男伊達の魅力満載のお芝居ですが
歌舞伎によくある衣裳デザインが登場しますのでひとつお話したいと思います!
今後の芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います。
ギンガムチェックではありません
大坂の侠客のカッコいい生きざまを描いた夏祭浪花鑑。
義兄弟の契りを交わした団七九郎兵衛と一寸徳兵衛は、
それぞれお揃いの格子柄の浴衣を着て颯爽と登場します。
団七九郎兵衛は柿色、一寸徳兵衛の浴衣は藍色でとても涼しげでした。
今様にいいますと双子コーデといったところです。
カッコいい団七が着ていた柄ということで人々のあいだでたいそう流行り、
「団七縞(だんしちじま)」と呼ばれていました。
二人が着ている縦・横の縞が同じ色で大きな升目の格子柄は、
正式には「弁慶格子(べんけいごうし)」と呼ばれる柄です。
お豆腐を切ったような正方形の格子が印象的ですね。
弁慶格子の衣裳を着ている役柄はほかにも
「義経千本桜 すし屋」のいがみの権太や、
今月上演されている「妹背山婦女庭訓」の鱶七などがいます。
女形でも「於染久松色読販」の土手のお六など悪婆の役に見られます。
コントラストが強いためか、鼻っ柱の強いキャラクターがよく身につける柄です。
現代の街中でも夏が近づくと、
大きめのギンガムチェックの服をお召しの女性の姿がちらほら見られますね。
このすえひろはいがみの権太が好きなためか反応速度が速く、
そうした服をお召しの見かけるたびに心の中で
「あっ、もしかして歌舞伎ファンなのかな…!」とつい思ってしまいます。
毎年のように弁慶格子のブラウスを探していますが、
今年こそ気に入ったものが見つかるといいなぁと思います。
参考:歌舞伎の衣裳