ただいま歌舞伎座で上演中の
秀山祭九月大歌舞伎!
昼の部「河内山」は歌舞伎の定番といえる演目のひとつですので、
この機会に少しばかりお話いたします。
芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!
明治に書かれた江戸っぽさ満点の芝居
河内山(こうちやま)というのは実は通称で、
正式なタイトルを天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)といいます。
スカッとして気持ちの良い七五調のセリフで知られる
江戸の名作者・河竹黙阿弥の作品であります。
お話はまさに軽妙洒脱な江戸の世界だなあと感じますけれども、
作品が初演されたのは実は明治に入って14年も経った1881年であります。
実はこの7年前の1874年10月の河原崎座において
明治の名優である九代目團十郎が主役の河内山宗俊で初演されていたのですが、
これはほとんど九代目のためだけの一人芝居のようなものであったようです。
明治は九代目團十郎の他にも
五代目尾上菊五郎、初代市川左團次というスーパースターが登場した時代です。
この三人は「團菊左」と呼ばれて人気を博しておりました。
そこで、1881年新富座での「團菊左」勢揃いの舞台のため
キャラクターを増やしたり、場面をぐんぐん増やしたりしてよりおもしろくしたのが
天衣紛上野初花なのであります。
歌舞伎に登場するかっこいい男のなかでもかなりのハイレベルである
直はんこと片岡直次郎も、
五代目尾上菊五郎のおかげで生まれたようなものであり
明治って最高だなぁ行きたいなぁと改めて思います。
次回以降引き続き、少しずつ掘り下げてまいります!
参考:新版歌舞伎事典