2019年の年が明けて一週間足らずでありますが、
先日もうひとつのお正月公演へ出かけてまいりましたので
感想をひとつメモしておきたいと思います。
出かけましたのは見目麗しき花形役者そろい踏みの
新春浅草歌舞伎であります!
役が伝わっていく素晴らしさを実感
松也さんを中心とした平成世代に交代してからはや5年、
皆さま目覚ましい成長を遂げられ、感動もひとしおであります。
これまでの5年間のなかでいちばん楽しく過ごすことができました。
驚くべきは種之助さんがお勤めになる役柄の抱負さ。
第一部・第二部と通して拝見しておりましたので、
白塗りの真柴久吉、道化の矢走兵内、女形の腰元お菊、
それからお父様そっくりな乗合船の才造…と
目まぐるしく変わる表情のひとつひとつが楽しみでありましたよ。
昼の部で最も印象に残ったのは
仁左衛門さん直伝という松也さんの「義賢最期」でしょうか。
仁左衛門さんが舞台においでのときの気配であったりセリフの抑揚、
伝わってくる思いなど、端々から本当に仁左衛門さんの教えが感じられ思わず涙してしまいました!
血縁とはまた違う、芸そのものの伝承で仁左衛門さんの気配を感じ、
心動かされるというのはファンとしてこの上なく幸せなことだなあと思いました。
また夜の部で最も印象に残ったのも
梅玉さん直伝という隼人さんの「番町皿屋敷」青山播磨でありました。
セリフの端々、丁寧な所作から梅玉さんの上品な青山播磨が
うっすらと透けて見えるのはなんとも興味深い体験です。
隼人さんが大変なイケメンであるという視覚情報はもちろんなのですが、
もしもそうでなかったとしても、おそらく芯の通った純真な青山播磨そのものが
そのまま舞台にいるであろうと思います。見た目を超える素晴らしさがありました。
視覚情報を超えて役柄の真心が真っすぐに伝わってきました。
いつの日かぜひとも歌舞伎座の舞台で拝見したいと心待ちにしております。
松也さんも隼人さんも、
教えをしっかりと細部まで守ってお勤めになっているのだろうなあと思い
若手の方々が古典の大役に挑む浅草歌舞伎のたのしさを改めて実感いたしました。
珍しく全員が出演される「乗合船惠方萬歳」が
最後の演目として用意されているのも心憎い演出でしたね。
みなさまの今後のご活躍が心から楽しみになりました。
これでもまだ折り返し地点を迎えたばかり、
残る二つの劇場のお正月芝居を心待ちにしております!