歌舞伎役者になるにはどうしたらいいのか…と考えますと、
梨園の御曹司しかなれない職業、一般人には無理、
というようなイメージが先行しますけれども、
実際には、狭き門ながら他の方法も用意されているのであります。
例えば今月、歌舞伎座にて中村莟玉のお名前を披露された中村梅丸さんは、
幼いころに歌舞伎役者になりたいという夢を抱き、
長らく梅玉さんの「部屋子」として修行を積まれ、ついに梅玉さんの養子として迎えられた…
という、大変ドラマチックな経歴をお持ちです。
「部屋子」という制度は、子役の頃から幹部俳優の楽屋に預けられて、
歌舞伎役者としての心得を一から仕込まれることを表します。
芸事の家柄の御曹司だけでなく、一般の家庭に生まれた子であっても、
見込みがあればチャンスをつかむことができるというものであります。
部屋子になるチャンスはつかめなかった、あるいはもうすでに青年となってしまった、
それでもやはり歌舞伎役者になりたい…と願う若い男性に向けた取り組みに、
国立劇場の「歌舞伎俳優研修」といったものがあります。
中学校卒業(卒業見込みを含む)以上の男子で、
原則として年齢23歳以下の者。
であれば、歌舞伎役者としての心得を一からみっちり習うことができる、
しかも受講料は無料というビッグチャンスです!
研修生の募集はこれまで2年に一度だったのですが、
来年度より1年に一度となるとのことで、チャンスが大きく開かれました。
そんな「歌舞伎俳優研修」の見学会第一回が今週の日曜日、11月10日に開催されます!
参加は11月8日(金)17:00までに下記サイトから申し込みとのことです。
いつかはチャレンジしてみたいとお考えの学生の方や、
そういった志をお持ちのご家族がおいでになる方はぜひこの機会をお見逃しなく!
詳しい研修の内容
詳しい研修の内容や、時間割のイメージについてはこちらのサイトにまとまっています。
化粧からとんぼまで、見事にカバーされていますね!
「体操」という授業が気になりますが、
歌舞伎役者というお仕事はもはやアスリートに近いものがありますので
肉体にしなやかさと強さをもたらす体操は確かに必要不可欠なように思われます。
…と、ここまで大きなチャンスがゴロゴロ転がっているかのように申しましたが、
1970年(昭和45)に開設され、現在第23期まで修了、
99名の研修修了者が歌舞伎の舞台で活躍しています。
これは就業者全体の33%にあたり、そのうち39名が名題俳優となっています。
と書かれているのをよくよく噛みしめますと、やはり相当に狭き門のように思います。
晴れて歌舞伎の舞台に上がれたとしてもその先の活躍ぶりに確かな保証はない
猛烈に厳しい世界であろうということが容易に想像されます…。
とはいえやはり、夢であれば一度は挑戦してみたいものですね。
このすえひろが23歳以下の男性でしたら、迷わず応募したものと思います。
大きな役であれ小さな役であれ、命をかけて先人からの芸を継承するというのは
それだけで本当に素晴らしい、宝物のような人生ではないでしょうか。
ぜひ、見学会のチャンスをお見逃しなく!
気持ちが盛り上がるオススメ本
実力で這い上がった江戸の名役者・中村仲蔵の物語は、
歌舞伎役者になりたい方の思いをきっと奮い立たせてくれるはずです!