歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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四月をふりかえり… 2021年

早いもので今月も今日でおわり…。今月は仁左衛門さんと玉三郎さんによる「桜姫東文章」を拝見することができました。奇跡のような舞台でした。

歌舞伎を好きになったきっかけであり、大学生の頃からの念願、いや、まさか今生で拝見できるとは思っていなかったので念願以前の問題でしょうか、とにかく一生忘れることのないひと月となりました。

生きていてよかった…!

あんなに美しい舞台があるのでしょうか。こういった時に湧き上がる気持ちというのは、芝居の内容というより先にまず、「生きていてよかった」なのですね…。こんなに「生きていてよかった」と思った歌舞伎の舞台は初めてでした。

大学の授業で「桜姫東文章」のビデオを見てから様々辛いことはありましたが、それらを乗り越え今生きているだけで本当に良かったと思いました。今後の人生もいろいろと悲しいことが起こるに違いありませんけれども、生きてさえいればこういうことも起こりうるのだと希望が持てます。お二人の輝きを希望として、強く生きていこうと思います。

 

今月の上の巻を拝見して今も気になっているのは、桜谷草庵にやってきた権助は、最初からああいった展開にするつもりで、桜姫を誘うためにわざと腕の彫り物をチラつかせたのだろうかということです。

仁左衛門さんの権助が、女性の方から自分に迫るように巧みに仕組んで責任は逃れつつ、女性の反応を楽しんでいるようなズルい男に見えたためであります。

桜姫との一夜のあとでもまさかほかの女性と関係していないわけはない、他にも現在進行形で泣かされている女が大勢いるのではないか…というところまで想像させるような権助で、なんだかもうたまらないの一言でした。。

 

今回の上演を叶えてくださった仁左衛門さんと玉三郎さんはもちろん、当時のT&T応援団の方々に、心から感謝しております。ありがとうございます。お二人の桜姫で歌舞伎を好きになり、そのまま好きでい続けることができて本当に良かったです。

緊急事態宣言の発令に伴い千穐楽が早まった影響で、このような特別な思い出をチケットをお持ちだったすべての方と共有できなくなってしまったことは、無念でなりません。生の舞台に代えがたいのはもちろん承知しておりますが、配信やテレビ放送を待ち望んでおります。

松竹歌舞伎屋本舗で舞台写真入り筋書が販売されているそうです。こちらのオンライン対応も本当にありがたいですね。

kabukiyahonpo.com

 

今日は、吉右衛門さんの状況についても発表がありました!

五月の歌舞伎座は休演、当面の間療養に専念とのことではあるものの、続報がたらされたことに安堵いたしました。ご無理なさらずにゆっくり休養していただきたいものです。一日も早いご回復を心から願っております。

www.kabuki-bito.jp

 

緊急事態宣言の無念のあまりついネガティブになってしまうことも多かったのですが、今はとにかく感染対策を徹底しながら劇場に思いを馳せ、一日も早く各ジャンルの公演が再開することを願っています。

再び歌舞伎座へ出かける日を楽しみに、今夜は休みたいと思います。お休みなさいませ。

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