ただいま歌舞伎座で上演中の二月大歌舞伎!
第一部で上演されている「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」は、近代に作られた新歌舞伎というジャンルのなかでも名作として知られる演目で、膨大なセリフ量が特徴です。今月は爽やかで明瞭な口跡をお持ちの梅玉さんが主役の徳川綱豊卿をお勤めになっていますので必見です。
初めてご覧になる方もおいでのことと思います。以前こちらのブログで簡単にお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。芝居見物や配信など何らかのお役に立つことができれば幸いです。
元禄忠臣蔵とは
元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)は、劇作家の真山青果の代表的作品です。題名のとおり、いわゆる忠臣蔵「赤穂浪士の討ち入り」を題材にしています。
同じく赤穂浪士討ち入りを題材とした江戸時代の名作「仮名手本忠臣蔵」とは違い、史実に基づいて実録的に作られているのが特徴です。
全十編にも及ぶ長い作品で、今回は特に上演頻度の高い「御浜御殿綱豊卿」の場面が上演されています。
近代における「忠臣蔵」
「元禄忠臣蔵」は近代に作られた演目ですので、せりふも現代の言葉に近く、感情表現にもリアリティがあります。
そもそもこのよく知られた「忠臣蔵」という物語は、歌舞伎の三大狂言のひとつにも数えられる名作「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」から生まれたものです。
仮名手本忠臣蔵は現代まで愛され続ける大ヒット作で、忠臣蔵外伝と呼ばれる様々な派生作を生み出しました。仮名手本忠臣蔵と元禄忠臣蔵はどう違うのかという点についてお話した回がいくつかありますので、もしご興味あらばご一読いただければ幸いです。
あらすじなどについてはまだお話しておりませんでしたので、また機会をみてお話してみたいと思います。