まさに梅雨寒という陽気ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
このすえひろはといえば久方ぶりにピューロランドへ出かけまして、降り注ぐかわいさにまみれてまいりました。サンリオキャラクターたちのさっぱりとした離れ目の吸引力たるや、とても抗えぬ凄まじいものがあります。
さて、先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして六月大歌舞伎の第二部を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
そこかしこからすすり泣きの声
第二部は「信康」「勢獅子」という狂言立てです。
「信康」は、徳川家康の長男として生まれながら家のため若くして命を差し出す悲劇の武将・信康を描いた昭和後期の演目。主役の信康を染五郎さんが、家康を白鸚さんがお勤めです。染五郎さんがなんと17歳にして歌舞伎座の舞台で初めて主役をお勤めになるとあって、大変注目を集めています。
染五郎さんは今後数えきれないほど主演をお勤めになることが明らかではありますが、初めての主役というのは今この時しかないわけで、しかも白鸚さんがお元気に共演なさっている姿を拝見できるというのも嬉しく、大変感慨深い一幕でした。生きていればこそです。
染五郎さんといえば先日まで大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に源義高としてご出演でしたね。義高もまた悲劇の人であり、その線の細さ儚さが素敵だとうっとり思っておりましたが、今回の舞台ではガラリと変わって、その気迫に圧倒されました。
とはいえやはり、白鸚さんの家康がお出ましになったときの大きさ、説得力はすさまじいものがありました。今後この域に到達されるまでの鍛錬を拝見できるのだと思うと楽しみでなりません。この先何十年と拝見していくことになるであろう染五郎さんの、現時点のお芝居を拝見できたことを財産に、今後も歌舞伎を楽しんでいきたいです。
「勢獅子」は、江戸の山王祭を描いた風情ある舞踊。信康は重いお芝居でしたので、ぱーっと明るくサッパリとした空気に変わり、湿気の多い季節にはありがたかったです。
近ごろ雀右衛門さんの色っぽさにドキドキしています。また、毎度毎度申しますが鷹之資さんが素敵で…。なんだかちょっともう一度全体を見ないと細かな内容が思い出せないくらいに鷹之資さんばかり見てしまいました。本当に江戸の人のような気持ちよさがあり目が離せません。