こんばんは♪昨日は「義経千本桜」の物語全体の発端のような部分をざっくりとお話したつもりです。今月歌舞伎座で上演されている「義経千本桜」は
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碇知盛
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いがみの権太
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狐忠信
の三部制となっています。第一部 碇知盛の直前に、実はひとつ有名な場面がありますので今日からはそこについてお話いたしますね。
京都・伏見稲荷が舞台
その場面は「鳥居前」と題して上演されるのが普通ですが浄瑠璃では「伏見稲荷の段」という名がついています。伏見稲荷というのはあのどこまでも続くような千本鳥居で有名な、京都の伏見稲荷大社です!
このすえひろも一度出かけたことがありますが、なんだか方向感覚を失うような不思議な場所で、道に迷ってよくわからぬ竹林に出てしまい大変恐ろしい思いをしました…
この「鳥居前」は単独で上演されることもよくありますので、ご覧になる際は(あの伏見稲荷なんだなぁ…)とイメージしながらお楽しみくださいね。
静御前の登場
弁慶の失態により、頼朝との溝が一層深いものとなってしまった義経。しばらく都を去って、よいタイミングを見計らおうとしていましたよね。
逃げてきた義経一行はひとまず都のはずれ、伏見稲荷までやってきました。
ここからが「鳥居前」の場面です。
義経たちがひと休みしていたところ、義経の愛妾・静御前が ”私も一緒にゆきたい” と追いかけてきます。
静御前というと烏帽子の白拍子姿のイメージですが、この作品では赤いお姫様の恰好です。
義経が身を隠そうとしているお寺は女人禁制のため、あきらめてくれと諭しますが静御前はなかなか飲み込んではくれません…
そこへようやく弁慶が追いつきますが、自分が頼朝側の家来の首を討ってしまったために義経たちが都落ちせざるを得なくなったとは全く思っていません。
むしろ ”大将の首を取ったから褒めてもらえるかな?という気持ちでのこのこやってきました。
弁慶の気持ちに反して義経はもう大激怒! 扇でビシバシと叩き 「もういいついてくるな、お前なんて帰れ帰れ」と叱り飛ばします!
そこで初めて自分のしてしまったことに気が付いた弁慶は、おいおい泣いて「連れて行ってくださいお願いします…」と謝りました。
忠信の不在
義経としても、このときはなんとも不安な事情がありました。
とても頼りにしている家来・佐藤四郎兵衛忠信が、お母さんの病気お見舞いのため実家に帰っていてそばにいないのです。そのため、義経はひとまず弁慶のお供を許してあげることにしました。
その勢いで私も!と静御前も改めてお願いするのですが、やはりそれは認めてもらえません…
静御前が「嫌だ嫌だ、死にたい」とあまりにもすがりつくので、義経は昨日その1でお話ししたあの初音の鼓を「これを私だと思って大切に持っていなさいね」と渡します。
それでも聞き分けのない静御前に困った義経は、なんと鼓の紐で静御前を木に縛り付け、お参りに行ってしまうのでした…
とそこへ、頼朝側の家来・逸見藤太がやってきて、これは静御前を連れ去るチャンス!と大喜びしています。
静御前はどうなってしまうのでしょうか!このあたりで次回に続きます!