今日はただいま上演中の秀山祭九月大歌舞伎から、昼の部「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」のお話を少しだけしたいと思います!
元は人形浄瑠璃
「一條大蔵譚」という名で親しまれているこの演目は
「鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)」という人形浄瑠璃のお話がもとになっておりまして、
ぜんぶで五段あるなかの四段目にあたる部分です。
「鬼一法眼三略巻」の三段目の部分も「菊畑」という題名でたびたび上演されています!
「菊畑」は確か数年前に歌舞伎座で上演されたはずですので、ご覧になったことのある方もたくさんおいでかとおもいますが、この「一條大蔵譚」との関連はすごく薄いです。
えっまだ「菊畑」見てないけど…いきなりお話の途中から見ちゃっておもしろいのかな…?
と戸惑ってしまいますが、歌舞伎ではよくあることなので何の問題もありません。初めての方も、どうぞご安心くださいね。
鬼一法眼三略巻のテーマ
歌舞伎には源平の戦いを下敷きにしたお話がものすごくたくさんありますよね!
例えば今年の六月に上演された義経千本桜では、義経と平家の滅亡にまつわる悲劇のいろいろが描かれていました。
同じように源平の世を下敷きにしたお話でも、この鬼一法眼三略巻では少し時代がさかのぼります。
平清盛が全盛の時代、滅ぼされかけてギリギリの状態である源氏の人々が、どうにかして再興を…と画策している、そんなありさまを軸としています。
「義経記」から鬼一法眼や弁慶などをモチーフとして抜き出して作られたお話です。
歌舞伎においては今の時代劇のように時代考証がしっかりなされた物語づくりはしていませんから、歴史や古典はあまり得意でないという方もどうぞご安心くださいね。
DVDもあります
十七代勘三郎の一條大蔵譚がDVD化されていました!
同じ演目でも味わいはさまざまですから、今月の吉右衛門さんの大蔵卿と見比べてみても楽しそうですね。