今日も、ただいま歌舞伎座で上演中の秀山祭九月大歌舞伎より
「一條大蔵譚」のお話をしたいと思います。
ここまでのあらすじ
平家調伏を願う気持ちが一致した常盤御前と鬼次郎夫妻。
その様子を見ていたのが、家老の八剣勘解由という男です。
彼は密かに御家の横領を狙っていたため、
\これは清盛に言いつけるチャンスだ/
と、勇んで奥殿を出てゆこうとした…
そのようなあたりまでをお話しました。
御簾の内から刃が
やいのやいのと出てゆこうとする勘解由は
\ぎゃあーーーー!!!/
突然さけび声をあげ、肩から血を流して倒れこんでしまいます。
御簾のうちから突如として飛び出してきた長刀により、ザザッと切りつけられてしまったのでした
長刀の主はなんとあの一條大蔵長成!!
実に勇ましく立派な、別人のような姿で登場します!
ここは客席がわぁと湧き上がる瞬間ですね。
あまりのことに鬼次郎夫妻・常盤御前も驚きを隠せぬなか、長成はその心の内を明かし始めます…
今では公家の長成はなんと、もとは源氏の血筋
源平の争いに巻き込まれぬよう、長らく阿呆のフリをしてこの乱世を生き延びてきたのだと言うのです。
義朝の無念な最期を悼んで常盤御前は貞女の鑑であると讃え、
自分の心底を義朝の忘れ形見である頼朝や牛若たちにもどうか伝えてほしい…
と、鬼次郎夫妻に平家討伐への願いを託すのでした
先ほど大蔵卿が斬りつけた勘解由の妻・鳴瀬はこれまで大蔵卿に仕えてきた身でしたが、
大蔵卿を愚かしい生まれつきと見なし、平家に通じて横領を企んでいた夫の不忠のためにその場で自害してしまいます。
一方で夫の勘解由は、此の期に及んでなお
\死んでも褒美の金が欲しい/
などと言い、大蔵卿にえいっと首を取られてしまいました。
この勘解由の首のように清盛の首も討ち落とすのだぞ、と鬼次郎を奮い立たせる大蔵卿。
餞別にと源氏の重宝「友切丸」という刀を鬼次郎に託し
鳴瀬の死を悼みながらも、
\源氏の白旗が上がるまでは阿呆でいよう… /
と笑って元の阿呆に戻り…
一同は源氏の再興を誓い、この演目は幕となります…
かなりかいつまんでしまいましたので所々前後していますが、だいたいこのような内容だ程度に思っていただければ幸いです。