ただいま国立劇場で上演中の
通し狂言 仮名手本忠臣蔵!
今月は第二部の上演ですが今月初めてご覧になる方もおいでかと思い、先月上演されていた第一部までのあらすじをお話したいと思います。
事細かにお話してしまうとなかなか読みにくいものになってしまいますので、あくまでもざっっっくりとしたあらすじとしますからお手柔らかにお願いいたします(人'v`*)
最初の場面「大序」
時は南北朝時代、鶴岡八幡宮が舞台です。
新田義貞を討ち取って将軍となった足利尊氏は、鶴岡八幡宮造営のお祝いのため弟の足利直義を鎌倉に派遣しました。
その接待を仕切る高師直と、饗応役の塩冶判官・桃井若狭之助ほか諸大名が集まって直義を迎えているところから物語ははじまります。
直義は「討たれた新田義貞の兜は後醍醐天皇から賜ったものなので、鶴岡八幡宮に納めよと尊氏から命がありました」と諸大名たちに伝えますが、師直は敵方にそんなことをしてやらなくてもよいじゃないかと反論します。
いろいろな思惑を疑い、この時点からイラッとしてしまったのは正義感に溢れた桃井若狭之助です。
若造のくせになんだと腹を立てる師直と若狭之助は対立!( `ー´)ノ
そんな険悪なムードの間に割って入ったのは塩冶判官でした。
今はもめている場合ではなくまずは、義貞の兜を探し出さなければなりませんよね。
しかし義貞を討った際、兜は四十七も転がっていたので一体どれが義貞のものかわからないのです(・_・;)
塩冶判官の妻・顔世御前がかつての仕事の経験から後醍醐天皇から賜ったこの兜について良く知っていたので、四十七の中から選び出すよう命じられて鶴岡八幡宮にやってきました。
顔世御前は見事その兜を見極め、塩冶判官と若狭之助は鶴岡八幡宮の御蔵に納めに向かいます。
みなぞろぞろとついていってしまったのでその場には顔世御前と師直だけが二人きりで残ることとなりましたが・・・
実は師直、塩冶判官の妻である顔世御前に横恋慕しており、恋文を渡したりぐいぐいと近づいたり散々のセクハラをしてきたのです(>_<)
顔世御前が困り果てていたところを戻ってきた若狭之助が助け、恥をかかされ腹を立てた師直と一触即発の状態に!
高師直もとても嫌な感じですが、桃井若狭之助もすぐにカッとなってしまうタイプなのですね。
またしてもそんな二人のピリピリしたムードを収めたのは塩冶判官でありました。
二段目
舞台は変わって、正義感のあまり師直に対してキリキリしていた若狭之助のおうちへ…
家老の加古川本蔵とその妻・戸無瀬、娘・小浪が主君の短気な性格を心配しているところへ、塩冶判官家老・大星由良之助の息子・力弥が、師直から指示された明日の登城時刻を伝えににやってきました。彼は小浪ちゃんのフィアンセなのです(*´艸`)
この家族と力弥の物語は第三部に含まれる部分に再び登場しますので、どうぞお忘れなきよう…
そんな力弥が帰ったあと若狭之助は、本蔵を呼び出してなんと
「もう我慢の限界。明日、師直を斬り殺そうと思う」と言いだします(・_・;)
主君の気の短さを心配していたはずの本蔵は何故か、若狭之助の覚悟をほめて松の木の枝を切って見せ「この通りに!」と後押ししました。
実は本蔵のこの行動は、ある思惑があってのことだったのです・・・。。
この二段目は現在あまり上演されませんが、力弥と小浪のやりとりなど可愛らしい場面もあるのでまた上演されることを願っております(*´艸`)
三段目
舞台は変わって、足利館の門前。夜の風景です。
高師直の載った立派な籠が停まっているところへ、桃井家 家老の本蔵が駆けつけました!
師直は家来の鷺坂伴内に「あいつを斬ってやれ」と命じますが、なんと本蔵はたっぷりと進物を用意してきたのです(・・;)
すると、パッと手のひらを返したように師直サイドは上機嫌に!
本蔵は先回りして賄賂を使って主君のピンチを回避しようとしたのですね。
この場面はユーモラスに描かれていて、後に続く悲しい出来事の前にほっと一息つくことのできる部分でもあります(´▽`)
夜明け間近となり、饗応役の塩冶判官が譜代の早野勘平を連れて登城してきます。
とそこへ顔世御前に仕えている腰元のおかるが、師直から受け取った恋文のお返事を判官に渡すために追いかけてきました。
実はこの勘平とおかるは恋人同士(*´艸`)
ちょっとどこかで少し二人で過ごしましょうよ、と小蔭へいってしまったのでした・・・
有名な「松の廊下」にあたる部分はここ
場面は変わって、足利館の豪華な松の間という部屋です。
式能がとり行われており、謡が聞こえてきます。
若狭之助はこの隙に師直を斬り殺してやるぞと意気込んで待ち構えています( `ー´)ノ
と、そこへやってくる高師直!
憎い奴が来たぞ来たぞ、恨みを晴らしてやるぞ・・・と思いきや
なんだか様子のおかしい師直。ははぁーとひれ伏して先日の無礼を詫びてくるではありませんか(・_・;)
急に馬鹿馬鹿しくなってしまった若狭之助は、「馬鹿なさむらいだ!」と捨てぜりふを残して去っていってしまいました。
本蔵の袖の下作戦はひとまず功を奏したようです。
命拾いはしたものの、これまでさんざん見くびっていた若狭之助に向かって下手に出たことでなんだかとてもイライラしている師直。
とそこへ、塩冶判官が少し遅れてやってきて顔世御前から託されていたお返事を師直に渡します。その内容は「わがつまならぬつまな重ねそ」。
これはつまり、師直は振られてしまったということなんですね。゚゚(´□`。)°゚。
こんなことになってはもう師直のイライラは止まりません!塩冶判官に対して、散々のいやがらせや悪口を次々に浴びせかけます。
穏やかなはずの塩冶判官ですが、
「ふなざむらいめ、ぴりぴりぴ、ぴりぴりぴ」
などとおちょくられ、ついに堪忍袋の緒が切れそうに・・・
しかし殿中で刀を抜いてしまえば、切腹・家の断絶へと直結してしまうのです!
いけないいけない、といやがらせに堪えに堪えていた判官もついに限界に。
バッと刀を抜き、師直に斬りつけてしまいました!
物影に隠れていた加古川本蔵に抱き留められてしまい、師直の額に小さな傷を作る程度の反撃しかできなかった判官。失うものがあまりにも大きすぎました。
判官の悔しさ、やるせなさの表情でこの場面は幕となります。
刃傷事件のあと
足利館の裏門では、主人の身を心配した勘平が駆けつけています。
恋人のおかると過ごしていたばっかりに、主人の一大事に居合わせることができなかったのです(・0・;)
武士としてこれは切腹するしかない、と思い詰めた勘平におかるは「山崎にある私の実家へ一緒に落ち延びましょう」と提案し、二人で山崎街道をめざすのでした。
この部分は「道行旅路の花聟」という舞踊で上演されるのが一般的で、今回は第二部の冒頭に組み込まれているようです。
四段目
さて、舞台は刃傷事件を起こしてしまった塩冶判官の家へと移り変わります。
判官はもちろん外出禁止、家中も出入りが止められており、重たい空気が漂っている塩冶館です。
顔世御前が夫を慰めるために桜の花を活けたりしているところへ、家老の斧九太夫と原郷右衛門がやってきて口論を始めます。
「全ては師直の恋文のことを判官に相談しなかった私のせいです」と夫をかばう顔世御前。喧嘩をしていた二人も落ち着いたところへ、いよいよ上使がやってきました。
厳粛な空気に包まれる中、死装束を身に着けた判官の切腹が執り行われようとしています。
しかし家臣たちは判官への最期の対面を許されていません。
なぜなら「国家老大星由良之助が到着するまでは誰にも会わない」という判官の思いがあるからなのです。
三宝に載せられた九寸五分を渡され、いよいよ切腹という時刻になってもなお「由良之助はまだか」と由良之助の息子・力弥に何度も訪ねる判官。
師直を討ち損じた無念、復讐の念を、由良之助にこそ伝えたいと思っているのです。
判官が諦めてグッと刀を突き立てたその時ようやく由良之助が駆けつけました。
今にも事切れそうな判官は胸のうちをそっと伝え、由良之助はそれを無言で受け止めます。
由良之助は主君の最期を見届け、形見の九寸五分を懐に大切にしまいました。
判官の遺体が菩提所へ送られると、家中では今後についての激論が繰り広げられます。
若く血気盛んなさむらいたちは籠城して討死だといきり立っていますが、由良之助は違いました。
「速やかに城を明け渡し、御用金は全員に配分する」との判断を下したのです。
今は血気に任せて動くべきではなく、「恨むべきはただ一人」と仇討ちを示唆するような言葉をさむらいたちに伝えてゆきます。
さむらいたちはそんな由良之助の深慮に胸を打たれ、追従を誓いました。
屋敷を明け渡すそのとき、ひとり表門に立ち尽くす由良之助は形見の九寸五分を取り出し判官の無念に涙します。
一歩一歩と離れてゆく城を名残惜しみながら胸の志を静かに燃やす由良之助の姿で、四段目は幕となります。
・・・とここまでが四段目までのざっくりとしたあらすじでした!
今回の上演では普段上演されない場面もたくさん盛り込まれており、自分の想像以上に長くなってしまいました。
読みにくい部分ばかりかと思いますが、流れだけご理解いただければ幸いです(人'v`*)