ただいま歌舞伎座と京都の顔見世で上演されている「京鹿子娘道成寺」(歌舞伎座では京鹿子娘五人道成寺)についてお話しています。
大変有名な演目ですから、今月が初めての方も今月見逃してしまった方もひとつ覚えていただけたらうれしいです(人'v`*)
ざっくりとした流れ
昨日は道成寺ものの下敷きになっている安珍清姫伝説についてお話しました!
が、京鹿子娘道成寺はそれをそっくりそのまま舞踊化しているわけではありませんのでまずは演目全体のお話をふりかえってみます…
舞台は桜が満開に咲いた道成寺。今の和歌山県のお寺ですね。
お坊さんたちがぞろぞろと、鐘の供養を始めるようです。
そこへ現れた、美しい美しい女性…花子という白拍子だそうです(人'v`*)
白拍子と言っても男装ではなく、舞妓さんのような赤い着物のかわいらしい恰好をしています。
道成寺は安珍と清姫の騒動以来、女人禁制となっているお寺です。
にもかかわらず花子は「どうか鐘を拝ませてください」と懇願します。
お坊さんたちはいろいろと相談し、
「舞を奉納してくれるのなら見せてあげてもいいんじゃないか」という結論に。
花子は白拍子らしく烏帽子をつけ、時にキリッと鐘を見上げながらもしずしず踊り始めます。
そこからはいろいろに曲を変え、衣装を変え、娘らしい心を踊りあらわしてゆきます。
手ぬぐいや笠、楽器などを用いて美しく踊ります。
どんどんどんどんとテンションを高めてゆくおどり…!
そしてしまいに、
なんと花子はヘビ化!
花子の本性は、亡き清姫の魂だったのです…
と、そんなお話であります(´▽`)
能の「道成寺」
そんな「京鹿子娘道成寺」が直接の出典としたのは能の「道成寺」という演目で
- 恋した男を鐘ごと焼き殺してしまった娘の亡霊が白拍子の姿となり…
- 道成寺の鐘供養で舞い…
- 娘の亡霊は蛇の体を持った鬼女となって現れ…
- お坊さんの祈りによって日高川深くに沈んでゆく
というようなお話のようです。
しかし名前や設定はいろいろと移り変わり、
白拍子花子という名の女が清姫の亡霊であるという人物設定は人形浄瑠璃の演目から取ったということ。
京鹿子娘道成寺はまさに各方面のいろいろなアイディアがぎゅっと集まって最も美しい状態を作り出した演目のようです(´▽`)