ただいま新春浅草歌舞伎で上演中の「角力場」についてお話してきました。
歌舞伎には、独特の言葉やお約束などがいろいろとあります。
なんらかのとっかかりがあると芝居はもっと楽しくなるはずです。
「角力場」の重要な人物であった山崎屋与五郎に関連する言葉がありますので、
今日は一つ覚えていただけたらうれしく思います(´▽`)
まずはおさらいを…ざっくりとしたあらすじはこちらです。
軟弱っぽさの中にただよう色気
ふんわりとしたハイトーンボイスの与五郎さんは、仕草も女性のようになよなよ〜くねくね〜としています((人'v`*)))
しかし与五郎さんはいわゆる二丁目界隈の組合の方というわけではないようですよ。
あくまでも遊郭での恋にのめりこんでしまうような優男なのです。
ですから男性としての色気がなければならず、
そのうえでとぼけたおかしみも感じさせねばならないというたいへん難しい役どころであります。
このような役柄のことをつっころばしと呼びます。
ちょっと突いただけで転んでしまいそうな、軟弱な二枚目のことと思ってください(´▽`)
実は歌舞伎には、演技の様式に東西の違いがあります。
東はキリッと豪快、西はやわらかくふんわり、といったような違いです。
このつっころばしは西の味わいで、
上方の和事(わごと)と呼ばれる演技の様式のなかで生まれたものであります。
すえひろは江戸ッ子ながらこのつっころばしが大好きで大好きで、
なよっとした感じがかわいくて堪らず、きゅんときてしまいます…(n´v`n)
東男に京女と言いますけれども逆もまたしかりなのしれません。
近頃はオトメン、女子力男子などという言葉がたくさん生まれていますよね。
「女の子なんだから」「男らしくしなさい」などという言葉も問題になるほどに、
男女差の固定概念を打ち破りゆく時代を生きています。
性差の常識はやがては過去の遺産となり新時代に突入してゆくんだなぁ、とふとしたときに感じます。
はるか昔・江戸時代に生まれたつっころばしのような男性像を見ると、
日本人は性別の垣根を今よりももっとゆるやかに自由に行き来してきたんじゃないかな、と気づかされます。
そんなつっころばしが私は大好きですヽ(。>▽<。)ノ