歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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歌舞伎のことば:顔見世(かおみせ)

前回のお話では吉例顔見世大歌舞伎公演中の歌舞伎座に、

櫓(やぐら)が建てられているようすとその理由についてお話いたしました。

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写真中央、唐破風の上に載っている四角い物が櫓であります。

 

毎年11月に行われる「吉例顔見世大歌舞伎」がとても大切な興行であるために

こうして歌舞伎座でも江戸時代の風情を演出している…ということでした。

今回は前回に続いて、顔見世が大切とされる理由についてお話いたします。

 

江戸時代の契約システム

江戸時代の歌舞伎役者たちはどのように働いていたのかといいますと、

各芝居小屋と11月から翌年の10月までの1年単位で契約を結び、

座付の役者として一年間その小屋の芝居に出演するという

プロ野球選手と球団のようなシステムが取られていたようです。

芝居小屋と契約、という点も今とは大きく違いますね。

 

新しい契約がスタートする11月は、1年間の興行の始まりの月。

お正月のように特別なものですからスタートダッシュが肝心であります。

当時から、役者の顔ぶれは集客を大きく左右するもの。

新たな年の芝居小屋の座組は観客にとっても話題の的であったはずです。

 

そのため芝居小屋では

今年のうちの小屋は、こんな役者を揃えていますよ!

どうですかこの顔ぶれ!豪華でしょう!

という思いを込めたにぎにぎしい興行をして、

お客さんたちに役者の「顔を見せる」必要がありました。

 

「顔を見せる」というところからこの11月興行のことは

古くは「面見世(つらみせ)」

やがては「顔見世(かおみせ)」と呼ばれるようになったわけです。

 

 

もちろん役者たちは毎年総シャッフルというわけではなくて、

前年から引き続いて出演し続ける役者もいたようですよ。

観客たちもこの顔見世をものすごく楽しみにしていて、

徹夜組もあらわれるほどだったようですから驚きです。

 

そんな顔見世興行、上演するのも大変なことでありました。

上演前には守るべき様々なしきたりや儀式があり、

上演する演目の内容や順番などにも細かな決まりがあったのだそうです。

 

 

 

現代も毎年11月に上演されている「吉例顔見世大歌舞伎」においては、

そのような厳格な儀式やルールなどは残っていないそうですが、

錚々たる顔ぶれがズラリと並ぶ、最高峰の配役での豪華な公演によって

顔見世」の特別な雰囲気が残されています。

 

江戸時代の顔見世の儀式やルールについては非常に長くなりますので、

また機会をみてお話したいと思います!

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