ただいま歌舞伎座で上演中の十二月大歌舞伎!
第一部「土蜘」はこのすえひろも非常に好きな演目ですので
少しばかりお話したいと思います(人'v`*)
「畜生口」の見得
歌舞伎の「土蜘(つちぐも)」は能の「土蜘蛛」を原作にしたもので、
明治14年に初演された河竹黙阿弥作詞の舞踊劇であります。
病気で臥せっている頼光の館に、
いつの間にか現れた怪しげな諸国行脚の僧智籌(ちちゅう)
祈祷してあげましょう…と頼光に近づくと、
なんとその影は人間のものではありませんでした(・0・;)
何者だーっ!と頼光が名剣・膝丸で斬りつけたとき…
智籌は長い数珠を両手で持って口に当て、
横目でぐーっと睨みつける恐ろしげな見得をします。
これが土蜘の大きな見どころで「畜生口の見得」と呼ばれます。
見ていてゾクゾクするような怪しさがカッコいい見せ場です。
両手で持った数珠が表しているのは、
大きな口がグワァーッと裂けるように大きく開いた
蜘蛛の化け物のおそろしい様子なのだそうです((・_・;))))
イマジネーションが刺激される、
なんて洗練された演出なんだろうと興奮してしまいます。
また僧智籌は舞台への登場と退場にも一工夫あります!
通常、役者が花道から出たり入ったりする時には、
「揚幕」と呼ばれる花道の出入り口の幕がシャリンとよい音を立て
床の照明で煌々と照らして華々しく登場・退場するものなのですが
智籌の出入りの時にはその音をさせず、照明すらたかれません。
そうすることによって、
音もなくいつの間にかそこにいる蜘蛛の不気味さを演出し
私達観客をゾッとさせる工夫なのだそうですよ。
こうした様々な工夫は他の役ではなかなか見られぬものばかりです。
智籌という役がもつ独特の恐ろしさは、
緻密な演出によって味わえるものなんですね(´▽`)