ただいま国立劇場で上演中の「隅田春妓女容性」!
千穐楽が間近に迫ってはおりますが、
今年の締めくくりに少しばかりお話をしてみたいと思います(人'v`*)
シャレにならない!梅渋吉兵衛の手口
前回は「梅の由兵衛物」についてお話いたしましたが、
梅の由兵衛のモデルとなったうちの一人
悪党・梅渋吉兵衛という人物について少し調べてみました。
梅渋吉兵衛というのは元禄時代の大坂・聚楽(じゅらく)町にいた悪党で、
船場や難波橋あたりの物寂しい場所で盗みや騙しなどを繰り返し、
なぜだか捕まらず長いこと暗躍していたのです。
主な詐欺の場は、当時上方で繁盛していた両替屋でありました。
丁銀と呼ばれる銀貨を両替屋に持っていき、
「これを両替してくださいな」と言って本物の銀を渡すのですが
「あっやっぱり今の銀、ちょっと見せてもらおうかな?」
と頼んで自分の手に取らせ、
その隙に本物とにせものを上手いことすり替えてしまうのだそうです。
気付きそうなものですが、これが非常に巧みで、
吉兵衛にかかれば騙されないものはないと言われる
大両替屋荒しとして名を馳せました。
そんな吉兵衛の悪事は、さらにエスカレートしていきます…
ある日、両替屋を営む天王寺屋の丁稚 長吉が
百両もの大金を持って出かけることになりました。
これを見逃さなかった吉兵衛。
長吉を騙して自分の家に連れ込み、
お金を取っただけでなく殺害までしてしまったのです!
長らく悪事を働いてきた吉兵衛もこれでついにお縄となり、
1689年(元禄2)に磔となったのでした…
梅渋吉兵衛の有名な悪事の手口はもう一つあり、
あるとんでもない発明品をもって次々に盗みを働きました。
それは「胡椒頭巾」というもの。
紙袋の中にコショウを入れ、
往来の人が油断しているすきを見て
頭から\バサァッ!!/と袋をかぶせます。
ギャアァなんだこれは!と
袋を被された人が慌ててコショウを吸い込んでしまい、
ゲホンゲホンと大いにむせている隙に、
懐にしまっているお金をごっそり盗んでしまうのです!
なんて姑息な手口なんでしょうね…!
今ではコントのようにも感じられますけれども、
非常に卑劣な手口であります(・0・;)
この胡椒頭巾が宗十郎頭巾のアイディアのもとでありますので
かっこよく仕上げたものだなぁと初代沢村宗十郎の機転には感動してしまいます。
さすが、江戸随一の名優です(n´v`n)
参考:三田村鳶魚著 江戸の盗賊(一)/朝日日本歴史人物事典