ただいま歌舞伎座で上演中の
歌舞伎座百三十年
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎 襲名披露
壽 初春大歌舞伎
二か月続く大変にぎにぎしい襲名披露の興行、
テレビなどでもたくさん紹介され、注目が高まっています!
中でも大きな話題を呼んでいるのが、
新幸四郎さん、新染五郎さんの襲名披露狂言「勧進帳」
数ある歌舞伎演目の中でも屈指の名作であり、
まさしく”歌舞伎を代表する演目”と言っても過言ではないほど有名です。
上演を期に少しばかり、そのあらすじをお話しております。
非常に奥深い演目であるためほんのさわり程度ではありますが、
なんらかのお役に立てればうれしく思います(人'v`*)
「知性」にあふれる弁慶
その一から六では長々と勧進帳のあらすじについてお話してまいりました!
それをお読みいただくとおわかりいただけるように、
勧進帳は大きな見どころが次々に繰り出される演目であります。
そのぶん弁慶をお勤めになる方には見せ場が間髪入れずにやってくる
ものすごくハードな役柄のようであります。
そんな弁慶役を生涯にわたって1600回以上も勤めたというのが七代目松本幸四郎。
大正から昭和にかけて活躍した七代目の伝説の弁慶は、
なんと音源として残されておりCDで聞くことができます!
本当に素晴らしいものなのでぜひお手に取ってみてくださいね(人'v`*)
- アーティスト: (七世)松本幸四郎、(十二世)片岡仁左衛門、(十五世)市村羽左衛門
- 出版社/メーカー: 日本伝統文化振興財団
- 発売日: 1997/04/09
- メディア: CD
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武蔵坊弁慶といえば、
美少年・源義経と好対照の雄々しく忠実な家臣として非常に有名な人物ですが、
実際の人物像についてはよくわかっていないようです。
まさに伝説が伝説を呼んで漫画のようにデフォルメされ続け、
寺の鐘を引きずった…石を持ちあげた…立ったまま死んだ…などという
度肝を抜くような並外れたエピソードが追加されていったのだろうと思われます。
そんな弁慶は歌舞伎のいろいろな演目に登場しますが、
いがぐり頭に隈取を施したそれはそれは猛々しい豪傑として
強さのシンボル的に描かれることが多いです。
荒々しい英雄を描いた江戸の「荒事」と呼ばれる演出では、
ある種の子供っぽさをもって演じられるのですが、
「勧進帳」の弁慶は一味違うのがポイントです!
富樫に突然勧進帳を読めと言われても頭で考えながらスラスラと読み上げたり、
山伏について事細かに質問されても淀みなく答えたりといった、
類まれなる知性を発揮しているのです。
まさしく文武両道の弁慶…
初演の際のお客さんたちはきっと、
わぁ弁慶ってこんなに頭も良かったんだカッコイイなぁ
と感じ入ったのだろうと思います(n´v`n)
参考:歌舞伎登場人物事典