ただいま歌舞伎座で上演中の
團菊祭五月大歌舞伎
十二世市川團十郎五年祭
十二代團十郎さんがこの世を去られてから五年の追善として
ご子息の海老蔵さんが当たり役をお勤めになり
團十郎さんらしく明るく華やかな興行となっています!
そんな今回の團菊祭にちなみ
昼の部「雷神不動北山櫻」について、少しばかりお話したいと思います。
芝居見物のたのしみのお役に立てればうれしいです。
「雲の絶間姫」の名前にひみつが
雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)には
「毛抜」「鳴神」 「不動」という三つの歌舞伎十八番が含まれていますが
中でも特におもしろく魅力あふれるのが「鳴神」の場面です。
超人的なパワーを持った聖なるお坊さんが
天下一の美女の色仕掛けにうっかり迷ってしまい、さあ大変だ!
という筋立てで、
思わず笑ってしまうような普遍的なおもしろさがありますね(´▽`)
その三では鳴神上人についてお話いたしましたので
天下一の美女である雲の絶間姫についてもお話しておきたいと思います。
歌舞伎の「鳴神」は能の「一角仙人」などを元にしていますが
このお話で国王によって送り込まれた一番の美女・扇陀女にあたるのが
雲の絶間姫(くものたえまひめ)です。
夫とのラブストーリーを色っぽく話す場面もさることながら
この名前が、そもそもとっても魅力的だなと私は感じます!
少し調べてみますと歌舞伎の「鳴神」は
元禄年間(1688~1704)の初めごろからたびたび上演されていたそうなのですが、
鳴神上人の元に送りこまれる美女というのは必ず
「雲の絶間姫(くものたえまひめ)」と決まっていました。
これは
鳴神(カミナリ)を落とす(堕とす)
というしゃれから生まれた役名だとのことです。
お見事というほかありません。
昔の人の考えることはほんとうにおもしろいですね。
参考:歌舞伎登場人物事典