ただいま歌舞伎座で上演中の
八月納涼歌舞伎!
第一部「龍虎」は幸四郎さんと染五郎さんの
美しき親子共演が話題を呼びそうですので、この機会に少しばかりお話いたします。
芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!
義太夫が濃厚な大迫力の舞踊作品
龍虎(りゅうこ)は、
昭和28年(1953年)9月に大阪にて初演された舞踊の演目であります。
一流の食通伝説でも知られる昭和の名優・八代目坂東三津五郎と
関西歌舞伎の名優・三代目實川延若によって繰り返し上演されました。
大地にとどろく雷鳴、空気をぐわんぐわんと揺るがすような暴風の中で
荒々しい虎と龍がグワーッとたたかいを繰り広げるという、
非常に猛々しくダイナミックな作品です!
今回、歌舞伎を初めてご覧になる方も大勢おいでと思います。
一口に日本舞踊と言っても、実はいろいろな音楽のジャンルがあり、
それぞれに味わいが異なるのですが、
この演目の音楽は「義太夫(ぎだゆう)」というジャンルです。
太い音の出る太棹三味線がドドドドドと荒々しいムードを高め、
太夫と呼ばれる歌い手の濃厚な語りが、詞章の世界を描き出します。
邦楽においての三味線の音というのは、
雨風などの気象はもちろん、涙のこぼれるようすなどの心の動き、
虫の声などなどさまざまな世界を描き出しています。
幸四郎さん・染五郎さんの舞踊のようすはもちろんのこと、
音楽が描いている世界をイメージしながらご覧になってみてくださいね!