ただいま歌舞伎座で上演中の
芸術祭十月大歌舞伎!
夜の部「助六曲輪初花桜」は仁左衛門さんが江戸一の色男・助六さんをお勤めになっていますね。
勘三郎さんの追善興行ということで勘九郎さん・七之助さんの御兄弟と玉三郎さんまでご登場という、
大変ぜいたくで貴重な機会として話題を呼んでおります。
この機会に少しばかりお話いたしますので、なんらかのお役に立てればうれしく思います。
女郎の湯漬けをかっこむぞ
江戸一番のイケメンとして吉原中でも大評判の助六さんは実は、
父の敵を討たんとしている曽我五郎時致(そがのごろうときむね)であり、
源氏の宝刀・友切丸を探し出したいがために、いろいろな人に喧嘩をふっかけては
刀を抜かせようとしている…という事情がありました。
いろいろな人を怒らせては暴れまわる助六でしたが、
ちょっとしたもめごとを成敗してみせ、カッコいいところを見せつけてくれます。
急いでいた福山かつぎにうどんの箱をぶつけられ、
因縁をつけたのは意休の子分のくわんぺら門兵衛。かんぺらと読みます。
助六から安い駄盛りのうどんを頭にかけられヒヤッとしたのか、
ぎゃ~斬られたと騒ぎ立てるという趣向がありますけれども、
これはなんと1749年、二代目團十郎三度目の助六のころからあったとされています!
270年近くこのギャグで笑っているのかと思うと、
なんだか江戸時代と繋がっているようでうれしくなりますね。
遊女のお風呂にさも「おいらはツウだぜ」とでも言いたげに自分も入って、
そしてなおかつ誰も後に続かず全員にフラれているくわんぺら門兵衛。
モテてもいないのにおいらはツウだぜとアピールするところ…
自分でぜぜ持ち(金持ち)様だと言うところ…
これでもかと野暮ったさが詰め込まれているからこそ、
助六さんのカッコよさがますます際立って見えるんですね!
270年助六さんを引き立て続けているだけのことはあります(´▽`)
参考文献:歌舞伎登場人物事典