本日27日、大阪は道頓堀の大阪松竹座にて
関西歌舞伎を愛する会 四十周年記念
七月大歌舞伎が千穐楽を迎えました!
おめでとうございます!
昨日は通しで、本日は昼の部のみ見てまいりましたが
やはり大阪で堪能する仁左衛門さんの芝居は格別の喜びがあると申しましょうか、
客席の一体感やあたたかみ、待ってました感が東京の歌舞伎座とはまた違うなあ〜と感じます。
このすえひろが江戸っ子の端くれでありながら大阪を好きでたまらないゆえんはこのあたたかみにあるように思います。
大阪ならではの空気を堪能
一幕目の色気噺お伊勢帰りは松竹新喜劇の名作!
戦後の大喜劇役者藤山寛美がお勤めになった不細工ながら愛嬌たっぷりな大坂の男性の役を鴈治郎さん、
江戸からきたモテモテ色男には芝翫さんという配役です。
上方らしい笑いのオンパレードに客席からはどっかんどっかんと笑いが起こっていました!
盛り込めるかぎり盛り込まれている笑いの数々は、老若男女誰もがわかるシンプルなものばかり。
10代のときになんばグランド花月で新喜劇を見たときのカルチャーショックを思い出して心が震えました。
また絶妙な「がんじろはん!」の掛け声にも感動いたしました!
こういったイントネーションなのか〜と思いつつも再現できないことがもどかしいです。
続く厳島招檜扇では、我當さんが舞台復帰なさいました!
本当に久しぶりのお姿に感激しきり、嬉しくてたまりませんでした…!
仁左衛門さんもイヤホンガイドのインタビューで兄の執念とおっしゃっていたように、
舞台の上での目の輝き、晴れやかな表情にすさまじいパワーを感じました。
無事千穐楽となったことに安堵しつつ、またお姿を拝見できる日を心待ちにしております。
渡海屋・大物浦は後にまとめてお話するとしまして、
夜の部は葛の葉から幕開け。
時蔵さんの葛の葉に萬太郎さんの保名という配役です。
クライマックスの舞踊的な場面を見ることができ、こちらも感激しきり。
続く道頓堀芝居前は、関西歌舞伎を愛する会のこれまでを振り返りつつの芝居形式の口上です。
江戸からやってきた方々を上方の方々が迎え入れるというつくりでしたが、
仁左衛門さんと秀太郎さんが登場したときの場の盛り上がり方、心が湧きたつようなうれしさは
やはり大阪松竹座独特のものなのではないかなぁと思われます。
関西で歌舞伎が不遇の時代があったことを今では想像もできないほど…
四十年の間に皆様がどれほどの努力をなさったのか、計り知れぬものがあります。
そして上州土産百両首で結びであります。
義理人情の話には弱いこのすえひろ、
前回拝見したのは確か新春浅草歌舞伎であったと思いますがより濃厚に感じられました。
そして旅の目的、仁左衛門さんの昼の部渡海屋・大物浦!
関西ではこれが最後とおっしゃっていることもあり、仁左衛門さんも渾身、客席も全身全霊での見物…
すすり泣きの声があちらこちらから聞こえ、幕が閉まってもしばらく拍手が鳴り止みませんでした。
知盛は悲壮、悲劇、という表現で語られますが
仁左衛門さんは知盛は安心して死ぬのだと繰り返しおっしゃっています。
怨霊のようだった知盛がまるで仏さまのようなお顔で「心地良やなあ」と言うさま、
その人生の全てであったしがらみから解放された表情、声に涙が止まらなくなりました。
劇場を出てしばらくしてもふと思い出してじわりと涙してしまうような、
後から後から波が押し寄せてくるような感動でありました。
とりとめもなくつらつらと書き付けてしまいましたが
本当にこの渡海屋・大物浦は一生忘れたくありません。
関西では最後、とおっしゃっていますが、
「関西では」との前置きに期待を持ちたいと思います…!