先日の話ですが、歌舞伎座へ出かけまして
八月納涼歌舞伎の第三部を拝見してまいりました!
今月の第三部は、宝塚歌劇や映画などでもおなじみの物語「雪之丞変化」を、
玉三郎さんが新たな解釈で歌舞伎化なさった「新版 雪之丞変化」であります。
新たな試みゆえ楽しみになさっている方も大勢おいでのことと思われ
詳しい内容については書かないつもりですけれども、
ネタバレを避けたい方はこの先をどうぞお読みにならないようご注意くださいませ。
この先ネタバレの可能性あり
新版雪之丞変化は、宝塚歌劇や映画のイメージとは全く異なる世界のため、
どう受け止めればよいものかと最初はかなり戸惑いました。
三階B席であったため映像のほぼ上半分が切れてしまったことが
戸惑いの原因のひとつかもしれませんが、
使われている映像の背景が現代の歌舞伎座であったり、
大道具も極限まで削り落としてあったりして、
視覚情報に頼れないなかで内容をどう味わっていけばよいのか見失いかけ
そもそも「芝居」とは一体なんぞや…という哲学の中に入ってしまいました。
しかしながら最後の、出雲阿国を思わせる夢のような一幕には救われました。
四百年あまり前の歌舞伎の発祥を思わせる、あまりにも美しいこの場面から、
玉三郎さんのあゆみ、そして七之助さんと中車さんのこれからを思い、
今ここにしかない芸能である歌舞伎の儚さのようなものを感じて、
これがテーマなのかもしれないなあ…などとも思ったのです。
とはいえ一度の見物だけでは内容について消化しきれず
できればもう一度拝見したいところですがそれが叶うかどうかというところです。
今後、さまざまな方の劇評など拝読して、再度作品を噛みしめたいと思います。