歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

夜の部を見てきました! 2019年9月

先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけ

秀山祭九月大歌舞伎の夜の部を拝見してまいりました。

実は夜の部はもう既に奇数日で何度か拝見しているのですが、

忘れないよう感想を少しばかりメモしておきたいと思います。

 

夜の部は吉右衛門さんの「寺子屋」仁左衛門さん・幸四郎さんの「勧進帳

そして歌六さんの「松浦の太鼓」という、もはや見どころしかない、

贅沢なことこの上ない狂言立てであります。

どの幕もボリュームがありましたが、夢中で拝見しているとあっという間で

いつまでも浸っていたくなるような芝居体験でありました。

 

最初の「寺子屋」では吉右衛門さんの松王丸が「無礼者め!」と憤り、

首実検の位置へ行こうとするときの背中に、なぜだかボロボロと涙が出てしまいました。

自分でもまだ早いなあと思ったものの、流れる涙を止められなかったのであります。

吉右衛門さんの背中に泣かされたのはこれが初めてではなく、

舞台の上に立っている姿だけですべてを感じ取らせるような深みに圧倒されてしまいます。。

 

続く「勧進帳」では、もう拝見する機会がないのではと諦めていた

仁左衛門さんの弁慶を拝見することが叶いました…!

これは本当に長年夢に見た、念願の一幕であります…!

 

これまで何度も拝見してきた勧進帳のイメージ、

弁慶像とは全く異なる美しい世界に呆然としてしまい、

大げさですが生きていて良かったなあとつくづく思いました。

通常の勧進帳よりも音楽の世界がゆったりと感じられ、

詞章のひとつひとつが浮かび上がり

そこに芝居の世界が絵巻物のように見えてくるような体験でした…

抽象的な表現ばかりになってしまいましたが、

月末までにはなんとか具体的な言葉にできたらなあと思っております。

 

切狂言「松浦の太鼓」では歌六さんが

よくお勤めになる役柄のイメージとは全く異なる、

愛嬌たっぷりの松浦候を初役でお勤めになり、大変新鮮な味わいでした!

東蔵さんの宝井其角とお縫のやりとりもかわいらしく、

前の二幕に貫かれていた緊張感からホッと解放されるような楽しさでありました。

 

 

間もなく千穐楽というのが名残惜しい秀山祭…

拝見できたことを本当に幸せに思います。

千穐楽までわずかですが、記憶に焼き付けるべく努めます!

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.