早いもので九月も今日で終わり…
今月は毎年楽しみで仕方がない秀山祭がいつにも増して豪華で、
夢のように贅沢なひと月でありました。
夜の部の「寺子屋」や「勧進帳」といったおなじみの演目は
やはり何度拝見しても圧倒的におもしろく、また感動的であり、
なぜこれほど長きにわたり愛され続けているのかが改めて実感できたように思います。
「寺子屋」「勧進帳」を様々な役どころで、
数えきれないほどお勤めになっているはずの吉右衛門さん、仁左衛門さんのお芝居。
松王丸と弁慶がそれぞれに味わっている苦悩や葛藤が、
幕が開くごとに今まさにその場で初めて起こったことのように新鮮に感じられ、
不思議なことに私もまた、まるで初めてその芝居を見たかのように
生き生きと芝居の世界を感じることができました。
多くの観客が芝居の筋を知っているなかで、
そのように感じさせるということがいかにすさまじいことか…
先人の蓄積とお二人が積み重ねてこられた道とを思うと
舞台の上のすべてが宝物のように感じられて涙が止まりませんでした。
来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。
楽しみに今日は休みたいと思います。おやすみなさいませ。