歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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十一月をふりかえり・・・ 2019年

早いもので11月も今日でおわり…

今月は歌舞伎座だけでなく久しぶりに国立劇場や新橋演舞場にも足を運び、

古典と近代の作品、そして現代の作品…と時代を超えた芝居体験を楽しみました。

 

月末には旧渋谷公会堂で開催されたアーツカウンシルの伝統芸能普及公演

近松二題〜鶴澤清治の芸」を拝聴する機会にも恵まれました。

広い劇場の音響のためか反響がわんわんとして大きく、まるでロック音楽さながら、

内臓がびりびりと震えるような太棹三味線の味わいに酔いしれて参りました!

 

演奏されたのは「日本振袖始」と杉本博司氏が手掛ける杉本文楽「女殺油地獄」です。

特に「女殺油地獄」は歌舞伎で親しんでいる演目であるため、

文楽による上演がどのように感じられるか非常に楽しみでしたが、

不思議なことに人間による芝居よりも死が生々しく感じられました…

近松門左衛門が手掛けた初演時には不評だったそうでありますが、

確かにこのリアリティには、見物の方々も少し引いてしまったのかもしれないと想像します。

 

今回は特別に伝説的ロックギタリスト ジミ・ヘンドリックスのようにと注文されたという

「序曲」が演奏されたのですが、これがまたなんともかっこよく、そして恐ろしく、

人間の最期の脈が絞り出されるようなイメージが湧いてきてゾクゾクいたしました。

 

 

私自身、青春時代はロックばかりを聞いておりましたが

ディストーションをかけたエレキギターと

太棹三味線の響きは非常に似ているように思われ、

どちらも心の叫びであったり情念のようなものを表現するのに

最適な楽器なのだろうなとつくづく思いました。

 

独特のびりびりとした響きを受けて体が直接震える感覚が

「感動」や「魂が震える」というような言葉に置き換わるのではと思います。

エレキギターやベースを好んでいた私が、

時を経て三味線にハマったというのは必然であります。

 

さて来月はいよいよ芝居納めのひと月、どんな芝居が待っているのでしょうか。

ナウシカに白雪姫にチャップリンと興味深い公演が盛りだくさんです。

楽しみに今日は休みたいと思います。おやすみなさいませ。

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