先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけて
十二月大歌舞伎の夜の部を拝見してまいりました!
個人的な備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
「本朝白雪姫譚話」は新作歌舞伎ですので詳しくは記しませんが、
ネタバレを避けたい方は何卒この先をお読みになりませぬようお願いいたします。
この先ネタバレの可能性あり
夜の部一つ目の演目は近年頻繁に上演されている「神霊矢口渡」
正直なところ大道具は楽しいが、さほど好きな芝居でもない…と思っておりましたが、
梅枝さんのお舟のころころと表情の変わるかわいらしさ、
アップテンポの音楽的な味わいに、こちらもノリノリになって楽しみました。
梅枝さんは本当に浮世絵から飛び出してきたようといいますか、
むしろ浮世絵そのものが動いているように見え、浮世絵好きの血が騒いでしまいます。
続く「本朝白雪姫譚話」はグリム童話の白雪姫を歌舞伎化した作品。
実際には玉三郎さんが40歳以上も年上のはずでありますが、
16歳の白雪姫を玉三郎さんが、その母の野分の前を児太郎さんがお勤めになっています。
児太郎さんはこのような味わいのお芝居もできるのかと驚き入り、
それを受ける梅枝さんの鏡の精も、同じ拵えでありながらも、
どこかひんやりと血の通わない澄み切ったガラスのような質感。
このお役も逆転したらばそれぞれどうお勤めになるのであろうなあ…と、
お二人の場面を非常に興味深く拝見しました!
それにしても、歌舞伎ほどに
年齢も性別も超越してしまう芸能というのは他にあるのでしょうか。
世界中の演劇のすべてを把握できているわけではありませんが、
おそらく非常に特異なものなのではないかなあと思われ
そういった点で歌舞伎ならではのおもしろい試みであったと感じます。