今日は6月28日。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
世界の感染者はついに累計1000万人を突破し、経済活動が戻りつつある東京でも新規感染者数は60名と発表され、いまだ収束にはほど遠い状況のようです。
このすえひろはおかげさまで熱もなく元気ですが、どんよりとした梅雨空のせいもあって何事にもいまひとつやる気が出ず、くよくよしながら毎日を過ごしております…。
芝居の再開はもちろんですが、まずは梅雨明けが待ち遠しい日々であります。
必見!おすすめの動画配信
生の歌舞伎を見られる日はいまだ遠く、おうちで過ごす時間の多い昨今。
今こそ素晴らしい劇評家の方々が残された過去の名演に関する書物に触れ、イメージの中の芝居見物に耽ってみるのも良いのではないでしょうか。
そんなときに役に立つと思われる動画配信をご紹介いたします!
shiratama-ya20200609archive.peatix.com
銀座しらたまや『歌舞伎ディープトーク~若手評論家、先達に学ぶ』
歌舞伎評論家の中村達史さんと、元歌舞伎役者で現在は銀座蔦屋書店 日本文化コンシェルジュの佐藤昇一さんによるトーク動画。歌舞伎ファンに人気の銀座の小料理屋「しらたまや」さんの主催です!
30代にして劇評家として書籍も出版された中村さんが、ご自身の歌舞伎評論家としての道を選ぶ経緯や、岡鬼太郎、三宅周太郎、志野葉太郎…などなど近代の著名な歌舞伎評論家について語るというタイトル通りのディープなトークであります。
近代の歌舞伎評論家の方々について、その書物は読んでいても意外とご本人については知らないことも多く、たいへん気になるところです!
このすえひろも中村さんとは長らく芝居談義を交わしてきた間柄。友人として、芝居に関するあらゆることを教えていただいてきました。
深い知識に裏付けられた熱く楽しいお話ぶり、劇評に対する真摯な姿勢が、オンラインで広くどなたにでも公開されるというのがうれしく、ぜひにとおすすめしたく思います。
歌舞伎は本来、役者の命の上にしか成り立たないものです。いま近代の名優たちの芸の細部を生き生きと知ることができるのは、その時代ごとの劇評家の仕事があればこそであります。
たとえ映像が残っていても、きちんとした目から記録された情報の精度には敵うはずもありません。
近ごろはSNSが発達し、芝居の感想を誰でも気軽に残すことができる時代になりました。少し検索をすれば、鋭い指摘や圧倒的な称賛などさまざまな声であふれています。
歌舞伎を見始めた方にはそういったSNS上の批判や称賛の声を参考にしながら、役者の芝居の良し悪しを判断するようになる方も多いかと思います。時には好きな役者の方が否定されていて、好きと言いにくくなるような場面もあるかもしれません。
もちろんSNS上の発言すべてが間違っているはずはなく、長年の見聞や鋭いセンスに裏付けられた素晴らしい発言、参考にしたい発言がたくさんあります。しかし突きつめれば、それがどのような経緯で発されているのか、根本までは確かめようがない非常に曖昧なものでもあります。
その時代の芝居を残すナマの声に変わりはないけれども、培った知識に裏付けられ書物として残る精度の発言とは、性質が異なることも念頭に置かなければならないと感じます。
もしも、歌舞伎を好きになりかけているのにSNSを見ていたらなんだか萎縮してしまったな…と感じられた方がいらしたら、一度情報源を絞って芝居と向き合ってみるのも良い方法かと思います。
SNSの発達した便利な時代だからこそ、中村さんのような若手の劇評家の方のお仕事はたいへん貴重です。
今回の動画配信、ご著書とともに、ブログもぜひにとおすすめいたします!!
今週のビッグイベントであった図夢歌舞伎についての感想は長くなってしまいそうですので、また改めたいと思います!