歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【図夢歌舞伎 第三回】ざっくり仮名手本忠臣蔵 五・六段目

あす11日は歌舞伎界初の試みであるオンライン配信歌舞伎

図夢歌舞伎 忠臣蔵 第三回の上演日です!!

 図夢歌舞伎 忠臣蔵では、屈指の名作仮名手本忠臣蔵 全十一段の内容が再構成され、5回に分けて上演されます。

第一回:大序~三段目

第二回:四段目

第三回:五・六段目(11日配信)

第四回:七段目

第五回:九・十一段目

オンライン配信ということで今回初めて歌舞伎をご覧になる方もおいでかもしれませんので、元ネタになるであろう仮名手本忠臣蔵 五・六段目のあらすじをざっくりとお話してみたいと思います。

何らかのお役に立てればうれしく思います!

そもそも仮名手本忠臣蔵とは

江戸時代の大事件「赤穂浪士の討入」を題材とした演目で、三大狂言のひとつにも数えられる名作中の名作。1748年に人形浄瑠璃として初演され歌舞伎に移されて以来、上演のたびヒットし続けている日本最大級のメガヒットロングラン作品であります!

全部で十一段あり、そのうちの五・六段目が今回の上演で描かれる場面のようです。

五・六段目のあらすじ

それでは、あらすじについて本当に簡単にお話していきたいと思います!

主な登場人物と配役

早野勘平:猿之助さん

斧定九郎:幸四郎さん

女房おかる:壱太郎さん

母おかや:吉弥さん

与市兵衛:高麗五郎さん

口上人形:猿弥さん

あらすじ

今回の五・六段目はいわゆる浅野内匠頭や吉良上野介の役は登場しないサイドストーリー的な部分なのですが非常に人気の場面です。

恋人とデートしていたために主君の大事に居合わせることができず、討ち入りにも加わることができなかった早野勘平という男の悲劇について描かれ、単独で上演されることもしょっちゅうであります。

 

早野勘平は、三段目で塩冶判官が高師直に対し刃傷事件を起こしているまさにそのとき、城まで付き添っていながら、恋人の腰元おかるとちょっとその場を外していて居合わせることができなかった…という、さむらいにあるまじき大失態を犯してしまいました。

ああ俺はダメだもう切腹しよう…と思い詰めていたところ、腰元のおかるから「私の実家は山崎で百姓をしているから、そこへ落ち延びましょうよ」と言われ、それもそうだな…と思いなおしておかるの実家へ行くことにしたのでした。

このくだりは舞踊で描かれるのですが、今回の図夢歌舞伎ではどうなるでしょうか。

 

そういったわけで勘平は猟師として暮らしはじめ、早数か月経ちました…ということが前提となる五段目。舞台は夏の雨夜の山崎街道であります。

この日勘平は、猟の途中でばったりと元の同僚である千崎弥五郎と再会。

①敵討ちの計画が進行中である

②参加するには軍資金が必要である

という2点を聞かされるのですが、この「軍資金」が大問題です。現在はさむらいではなくおかるの実家で慎ましい日々を送っているのですから、 まとまったお金など到底用意できそうもありません。

困ったなあと思いながらも勘平は、敵討ち計画の希望を胸に狩りへと戻るのでした。

 

時を戻しまして、おかるの父・与市兵衛もまた、この夜の山崎街道を急いでいました。

勘平のためにと娘のおかるが祇園の色街に遊女として身を売ってしまい、その半金の50両をお父さんが受け取って大切に大切に運んでいる…という状況です。現代の感覚ですとすごい家庭なのですが、とにかく勘平を元のさむらいにしてやりたいという一心なのであります。

しかし与市兵衛は不運なことに、暗がりに突如現れた山賊の斧定九郎に襲われ、50両を入れたお財布をごっそりと奪われた挙句、無残にも殺されてしまったのです。

 

斧定九郎は塩冶家家老・斧九太夫の息子なのですが、あまりにも素行が悪いので勘当され今は山賊になっているという男。老人を襲って50両という思わぬ大金を手にし、悠々と立ち去ろうというところへ突然、イノシシが乱入してきます。

定九郎が慌てて逃げようとするところ、パァーン!と鉄砲の音が!

イノシシを狙った玉は運悪く定九郎に命中。50両を手にしたのも束の間、定九郎もまた命を落とします。

 

 

そんなところへ、イノシシを仕留めたと思った狩人がやってきます。この狩人というのは誰あろう勘平なのであります。

おかるが50両を用立ててくれたことも、与市兵衛が定九郎に殺されたことも知らず、勘平が暗がりにて手探りで獲物を確かめると…イノシシと思ったのはなんと人間!しかも懐に大金がごっそりと入っています…!

今はとにかくまとまったお金が欲しい勘平。悪いとは思いつつもこの金を持ち去り、千崎弥五郎の元へ急ぐのでした。

 

ここからは六段目の内容です。舞台はおかるの実家・与市兵衛のおうちに変わります。

夜が明けて勘平が家に帰りますと、まさにおかるが祇園町へと売られていくところでありました。おかるが自分のためにそんなことをしていたとは知らなかった勘平は驚きますが、もっと衝撃的な事実が判明…

 

なんと「与市兵衛が金を持ったまま帰らない」というのです。

与市兵衛が持っていたという財布は、まさしく昨日撃ち殺した誰かの持っていた財布と同じもの…。これに気が付いた勘平は、「自分が義父を殺したに違いない」と完全に思い込んでしまったのでした。

そんなわけで、売られていくおかると入れ違いに与市兵衛の遺体が運び込まれてきても、あまり驚かない勘平。そんなようすを不信に思ったのが義母のおかやでした。

 

いくらさむらいと言ってもそんなに驚かないなんておかしい、与市兵衛を殺したんだろう、と言って、勘平を責めに責めるおかや。なんとも言いようがない勘平は追いつめられていきます。

さらに悪いことに、千崎弥五郎が上役とともに訪ねてきました。怒り心頭のおかやが「勘平が敵討ちの資金として渡した金は舅を殺した金だ」と言ってしまったので、二人は「そのような金で敵討ちに参加しようとはとんでもないぞ!さむらいにあるまじき行い!」と50両を返却のうえ、その場を立ち去ろうとします。

 

もはや完全に絶望した勘平は二人を必死に引き留め、涙ながらに事情を話すと、脇差をグッと腹に突き立てしまうのです!

腹を切るほどの切実な訴えに千崎弥五郎は心を動かされ、与市兵衛の遺体を改めて調べますと、死因は銃殺ではなく刺殺。勘平が鉄砲で殺したのは斧定九郎であったと判明するのです。

追いつめられ早まってしまった勘平でしたが、おかやからの疑いも晴れ、念願の敵討ちの連判状に加えてもらい、息絶えるのでした…

 

そんな五・六段目、果たして図夢歌舞伎ではどのように演出されるのでしょうか?

チケットは11日(土)23:00まで購入可能で、7月12日(日)23:00までアーカイブ配信の視聴が可能です。配信が楽しみですね!

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