本日上演された図夢歌舞伎 忠臣蔵 第三回!
全五回の図夢歌舞伎忠臣蔵もいよいよ折り返しの回となりました。
図夢歌舞伎とは、リモートでの生配信や事前収録映像を駆使したオンライン上演スタイルの歌舞伎。もちろん歌舞伎の長い歴史で初めての試みであります。
初めての試みとあって毎回毎回進化がすさまじく、今回の第三回も素晴らしいものでありました…!忘れぬうちに感想をメモしておきたいと思います。
アーカイブ視聴がまだでネタバレを避けたい方は、どうぞこの先をお読みにならないようお気をつけくださいませ。
この先ネタバレにご注意ください
今回の第三回は、歌舞伎の舞台でも人気の五・六段目が描かれていました。
上演時間が初回からぐっと伸び、なんと50分でありました!冒頭配信トラブルもありましたが実質一時間ほどの芝居見物となり、また芝居の内容も非常に濃密であったために値段相応のボリュームを感じることができました。
葵太夫が語るようすや三味線の方の手元など臨場感のある映像も盛り込まれていて大変熱く、幸四郎さんの猿之助さんの化粧風景のサービスカットで以前拝見した滝沢歌舞伎を思い出すなどして楽しい時間でありました。
夜の山崎街道が舞台となる五段目では、与市兵衛を襲う定九郎の動きが分かる横からのアングルがありとてもおもしろかったですね!やはりどこから見ても定九郎はカッコいいものです。中村仲蔵が見たらさぞかし喜ぶのではないでしょうか。さらに勘平が財布を盗んだ遺体が与市兵衛なのか定九郎なのかわからないように撮られている点も非常にワクワクいたしました。
六段目ではこれまでのような画面を割るタイプのリモート共演ではなく、カットを割って見せていく手法が取られていましたね。アップは多いものの非常に洗練されていたので、別の場所にいるとはとても思えぬ自然なやりとりで驚き入った次第です。
セリフを言っている人物だけでなくセリフを受けている人物の画で見せる部分や、与市兵衛の遺体が運び込まれるときの村人たちの会話を役者ではなく葵太夫の語りで見せていた文楽のような部分など、身体接触を防ぎつつ違和感を感じさせない大変おもしろい工夫だなと思いました!
今回特におもしろかったのは、歌舞伎座の座紋が入った揚幕が映りこむなど、スタジオにはないのではと思われる「花道」を感じさせる工夫が随所に盛り込まれていた点であります。そうでありながら、山崎街道の藪が人物の手前に写り込んでいたりといった劇場では味わえないリアリティも織り交ぜられていて、非常に刺激的でありました。
「花道」を感じさせる…といえば葵太夫が六段目の勘平の出で、チラッと花道の方角に向かって目を向けていらしたのは大変感動いたしました!ほんの一瞬なのですが、花道と床の位置関係も感じることができる、つまり劇場の空間を感じることができる素晴らしい瞬間であったなと感じ入りました…
あれは演出であるのか習慣としてごく自然にそうなさったのか不明でありますが、いずれにせよ素晴らしく、長年の芸の重みをひしひしと感じます。
また余談ですが、エンドロールで幸四郎さんが猪をお勤めになっていたと知って笑ってしまいました。実際の舞台では絶対に絶対に見られないものですから貴重ですね。改めてアーカイブをよくよく拝見したいと思います!
そして次回の第四回には、なんと初代白鸚が映像出演という衝撃的なニュースがありました…!
既に亡くなられた方と存命の方のご共演というのは観客にとっても夢のようなお話であり、とうとうそんな時代が来たのか…!と衝撃を受けております。
来週の第四回が一体どんな作品になるのか、今からとても楽しみです…!