早いもので7月も今日で終わり…
東京では新規感染者が460人を超えるという状況で、全国でも感染者数が大幅に増えつつあるようですが、ひとまず明日からは五カ月ぶりに歌舞伎座が再開する予定であります。この先どうなるか全くわかりませんが、なんとか千穐楽まで幕が開くことを願います。
心が躍る一方で
この五か月間というもの何やら元気が出ず、日常のなかに歌舞伎がないというだけでこんなにも暗い気持ちになってしまうんだと自分でも驚きました。自分自身が見る、見ないにかかわらず、どこかで幕が開き興行が行われているということそのものが、大きな活力であったのだなと思いました。まさに生きがいであります。
どうあれ明日から芝居の幕が開くというただそれだけで、心が躍るような思いがします。
その一方、そんな私にとっての生きがいを届けてくださっている歌舞伎や伝統芸能に携わる方々の現状は決して明るいものではないようで、公演再開を喜びつつも胸が詰まる思いです。東京新聞 2020年7月24日の記事に詳しい数字が掲載されていますので、張り付けておきます。
2016年ごろだったと思いますがgakkoのオンライン講座「歌舞伎の経済学」で松竹株式会社の方から「国立劇場の歌舞伎公演に歌舞伎俳優をお貸ししている」という趣旨の発言があったことが妙にひっかかり、記憶に残っておりました。役者さんご自身がテレビで「契約を交わしていない」という趣旨の発言をなさってはいたものの、専属同然の雇用関係のもとで運営されているものと思っておりました。
また前述の「歌舞伎の経済学」で「不動産事業で収益を安定化させている」という発言もあったため、こういった苦境にあっても役者さんや裏方の方々の生活は守られているのかもしれないとうっすらとした希望を持っておりました。
しかしながら伝統の継承はもとより生活そのものが危ぶまれるような状況にあるという一部週刊誌の報道や、生活の変化にまつわる役者さんご自身のSNS投稿なども拝見し、いやはやどういったことなのであろうか…と大変に気を揉んでおります。
夢の世界ですから芝居好きとしてはこういった事柄は深く考えてはならないのかな…ととも思うものの、とても考えずにはいられず、もやもやが続いています。
江戸時代の金主である大久保今助のようにドーンと何かできればよいのですがそんな力などなく、細々とチケットを買うことしかできませんが、とにかく八月からの興行で歌舞伎に携わる方々の状況が少しでも良い方向に向かうよう願っております。
今後再び劇場公演が中止となるようなことがあった際にも、役者さんはもちろんのこと舞台を支える方々、邦楽関連のお仕事に携わる方々に届くようなチケット代を支払うことができる場が残ってほしいと思います。
図夢歌舞伎の千穐楽での幸四郎さんの涙を忘れることができません。
何はともあれ、来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。
それだけを楽しみに今日は休みたいと思います。おやすみなさいませ。