歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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八月花形歌舞伎 新スタイルの歌舞伎座へ行ってきました!

昨日、めでたく公演を再開した歌舞伎座に出かけてまいりました!

感染対策などご心配なさっている方も大勢おいでかと思いますので、実際に劇場へ出かけてきていろいろと気づいたことなどをご紹介いたします。

私が拝見したのは第二部のみで、ほかの部の様子は不明です。また今回お手洗いは使用しておりません。ご参考までよろしくお願いいたします。

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切符は自分でもぎるスタイル

まず入場ですが、ロビーに入るまでに様々な対策ポイントが設けられていました。

いつもの玄関口には足元に距離を取るためのあしあとマークが貼られており、その距離感を守りながら下記の段取りで入場します。

①手指の消毒(歌舞伎座の手ぬぐいが置かれていてかわいい)

②体表面温の測定(スマホのようなものが立てられていて画面を見て確認する)

③チケットの日付確認(係の方に券面をお見せする)

④自分でもぎり、置かれているボックスに半券を入れる(新鮮)

個人的に「自分でもぎる」という行為に興奮いたしました。チケットをパァにしてしまうようなタブーを味わいつつもちゃんと芝居は観れるというジェットコースターのような体験でした。

あらすじ付き冊子がいただける

今回の公演は筋書の販売がありませんが、あらすじと配役が書かれた簡易的な筋書が配布されていました!これはとてもご親切なお気遣いだなと思いました。このような状況にあって劇場へ来ることができた大切な思い出の品として持ち帰ることができるのもうれしいですよね。

また筋書は正面玄関ロビーの机の上に置かれていて、係の方からの手渡しではありません。徹底的に手渡しを回避する心配りを感じました。

一回下手側の売店では飲み物や仁丹?などのみ売られていたようです。(多分。売られていた品についてはちょっと記憶が曖昧です)もちろんお弁当はありませんでした。

ロビーには新たにベンチが設置され、隣の方と距離を開けて座れるよう座面に工夫がなされていました。上演まで客席で待機するのがなんだか不安という方には良い場所かと思います。

いつにも増してふかふかのじゅうたんを歩き、いつも使っていた下手側のエスカレーターに乗り、ああ本当に歌舞伎座にいるのだなと胸がいっぱいになって、視界が涙でにじんでしまいました。ただ歌舞伎座に来たというのではなく、「大好きな場所に帰ってきた」という思いでありました。

劇場ロビーでお見掛けする係の方々も以前と同じお顔が見えたりして、本当にうれしく思いました。

静寂の客席

客席に入りますと、とにかくその静寂に驚かされます!

「客席とロビーでの会話は控える」ようにとのお達しであったため、皆様それを厳格に守っていらして、とにかくシーーーーーーーーーーーーーーンとしていました。開演前に手荷物をガサガサとするのもはばかられるほどであります。

客席はそもそも前後左右を空席として販売されていましたが、販売していない席にはきれいな赤い帯のようなものが2本置かれていて、座ることができないよう工夫がされています。

この帯はガチガチに固定されているわけではなさそうでしたが、どういうわけか「迂闊に触れないようにしたい」という思いを抱かせる品で、抑止力として最適な工夫であるなと思いました。

消毒のお手間なども考えますと、荷物は自分の膝に置くのがベストであるなと思いました。今後秋冬になりますとコートなど荷物が増えますから、観客の側でも荷物を減らす工夫が必要かもしれません。

初日は開演前にアナウンスが!

これは初日のみの計らいだったのかもしれませんが、なんと開演前に役者さんからのアナウンスがありました!!すえひろが拝見した回では勘九郎さんのお声です。この計らいは本当にうれしく、宝塚のようでもあり大興奮いたしました…!!

開幕し、扇雀さん、巳之助さん、勘九郎さん、と役者さんが登場。登場のたびに割れんばかりの拍手で、私も手が痛くなるほどに拍手をいたしました。「うわー!本物の歌舞伎役者だ…!!」という非常にシンプルな感動、これはコロナ禍を体験しなければ味わうことができなかったものだと思いますと、この状況もまた楽しみに変えられるようでした。

うわー!!歌舞伎役者だ!!という興奮のあまり、それぞれの芸をしっかり堪能するほど冷静にはなれなかったのが正直なところなのですが、勘九郎さんがとにかく楽しそうに、幸せそうに踊っていらしたのが印象に残っています。それを拝見していたこちらも、うれしくてたまらない気持ちになりました。

また演奏家の方々がつけていらした黒い布地のマスクがカッコよかったです!いつもより人数が少ないものの、やはり生の音というのはこんなにも高揚するものなのだなー!とつくづく思いました。体がびりびりと震えるような体験でした。

帰りは係の方の案内に従う

終演後も感染対策の工夫がなされていました!

歌舞伎では他のジャンルの演劇のようにカーテンコールがないためか客席で余韻に浸る方は少なく、幕が閉じるやいなや皆一目散に出口を目指す…というのがいつもの光景でありました。エスカレーターといいロビーといい、まさに「密」そのものでしたね。

今月からこの点が「係の方の案内があった席から順に退出」というスタイルに変わっています。おかげで劇場内がぎゅうぎゅうに混み合うこともなく、密集せずに退出することができました。

やはり生の歌舞伎は格別

とにもかくにも生の舞台というのは素晴らしいもので、演者の方々と自分自身が生きているからこそ味わうことができる、かけがえのない時間であるなという思いを改めて抱きました。二度と同じ時間を過ごすことはできない本当に尊いものです。

 

拝見した「棒しばり」には、もっもらしいメッセージなどは何もありません。コロナを乗り越えてがんばろう、などというような意味が込められているものでもない、ただひたすらに愉快な演目であります。ほんのひととき憂さを忘れることができる慰み、つまり「娯楽」が欲しかった、これを待っていたと心の底から思いました。

娯楽に関わる仕事は社会生活の維持に必要不可欠な仕事とはみなされていない向きがあるのかもしれませんが、私個人としては心の健康、生命維持に絶対に欠かせない存在であると思います。娯楽に関わるすべての方々に、充分な補償がなされることを望みます。

 

劇場での観劇や劇場までの移動など様々なリスクが考えられ、安心です!とも申し上げることはできませんし、ぜひにとおすすめできることでもないのですが、悩んでおいでの方にとって何らかのご参考になれば幸いであります。

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