歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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ストリートビューで歌舞伎ゆかりの地に行ってみた 梶原平三誉石切 編(追記あり)

新型コロナの外出自粛期間に始めた「Googleストリートビューで芝居の舞台となった場所とその周辺を訪ねてみる」という遊び。本日もひとつ訪ねてみようと思います。ゆるゆるとした旅ですがみなさまもぜひご一緒にいかがでしょうか。

先日千穐楽を迎えたばかりの十月大歌舞伎にちなみまして、第三部「梶原平三誉石切」ゆかりの地をうろうろしてみたいと思います。行き当たりばったりのうえ、事情があり画像そのものを貼ることができず地図埋め込みとなりますが、何卒ご了承くださいませ。

前回:色彩間苅豆 編

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梶原平三誉石切とは

梶原平三誉石切」は、平家方のさむらい梶原平三景時が、源氏ゆかりという素性を隠した父娘が持参した刀の鑑定を行い、自分の本心は源氏にあると打ち明けて刀を買い取ってあげるという内容です。梶原が稀代の名剣で、手水鉢を一刀両断にしてしまうという幕切れが見どころであります。

梶原景時は、最初は平家に属していたのに源氏方になり、さらに義経を失脚させたということで芝居においてはだいたい嫌な奴になっていますが、梶原平三誉石切ではとにかくカッコよい人物として描かれているというのも特徴です。 

さっそく行ってみましょう

梶原平三誉石切の舞台は鎌倉の鶴岡八幡宮ですのでこのあたりです。

参道が素敵ですから、せっかくですので参道からぶらぶらしてみたいですね。おでかけ気分を出すために鎌倉駅前の小町通から向かいたいと思います。 

小町通の入り口にも鳥居がありますね。画面の左手には鳩サブレでお馴染みの豊島屋さんがあります。このすえひろの好物です。

小町通のこの喫茶店は非常に分厚いホットケーキが有名でテレビなどでもよく紹介されていますね。一度食べてみたいものです。

このあたりで参道の方へ出てまいりました。趣のある石垣が貫いていて素敵です。

ほんのわずかに鳥居が見えてまいりました。かなりの距離があるようです。

おっ!ようやく鳥居に到着です!なんだか暗雲が立ち込めていますね。

少し角度を変えてみましたらいきなりの晴天です!舞台の大道具と同じような色合いで見事です。

本殿まではまだまだ距離があります。

この池はその名も「源平池」というそうです!いかにも源平合戦ゆかりの地という熱いネーミングですね。

本殿まではまだまだ、まだまだあります…。結構な規模ですね。

六郎太夫に家に刀の折り紙を取りに戻るよう言われた梢が駆けていき、また戻ってきた道だと想定してみますと、梢はかなりの俊足であるなと驚きます。

立派な舞殿です。右手奥にいよいよ本殿が見えてきましたね。

舞台の大道具の角度を考えますと梶原たちが話をしていたのはこのあたりでしょうか。

この石段の上に、本殿があります。

立派な本殿です!

いつものことながら遠巻きですが、バーチャルお参りをいたします。

 

そういえば、石切梶原ゆかりの地を巡ろうと思っていたのに手水鉢をスルーしてきてしまいましたね!うっかりしていました。本末転倒です。

見に戻って旅のしめくくりといたしましょう。こちらが手水鉢です!!!!

思っていたよりもこじんまりとしていますね…!!!名手の梶原といえども結構切りにくそうな感じです…!

今月の「梶原平三誉石切」では仁左衛門さんの清めの手水の場面のひとつひとつの所作が最初から最後までとにかく美しくて素敵で、うっとりしながら拝見しておりました。手水鉢を見ていたら思い出してしまいました…素敵でしたね……

 

10月31日追記ーーーーーー

ブログをお読みいただいている方より、梶原が頼朝公を助けたという重要なゆかりの地「土肥の娼山(しとどの窟)」についての情報をTwitterにていただきましたので追記いたします!

 

こちらが湯河原温泉の天然の洞窟「しとどの窟」であります。

源頼朝が石橋山の戦いに敗れこの洞窟に隠れていたところを、大庭景親たちと探索活動をしていた梶原景時が発見。しかし梶原は「この山には誰もいない」と大庭に報告し、頼朝を助けた…と伝わる場所だそうです。

 

洞窟にずらりと並んだ石仏のようすから、ものすごい迫力が伝わってきますね…!ひんやりとした厳かさにゾクゾクしてしまいます…!

頼朝公は、平家物語に「顔大きにして背低かりけり。容貌優美にして言語分明なり」と書かれているように、美しく大きなお顔から知性や品性がにじみ出るような方だったのかなと想像します。

まさに判官びいきな芝居では嫌なやつにされがちの梶原景時ですけれども、頼朝がこの窟に身を潜めている姿に、胸打たれる何かを感じたのかな…と、その心中を察することができた風景でした。

今後の芝居を見る目が一層深まりそうです!桝田ー様、ありがとうございました!

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