歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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ストリートビューで歌舞伎ゆかりの地に行ってみた 日本振袖始 編

新型コロナの外出自粛期間に始めた「Googleストリートビューで芝居の舞台となった場所とその周辺を訪ねてみる」という遊び。本日もひとつ訪ねてみようと思います。ゆるゆるとした旅ですがみなさまもぜひご一緒にいかがでしょうか。

先日、歌舞伎座で千穐楽を迎えた十二月大歌舞伎にちなみまして、第四部「日本振袖始」ゆかりの地をうろうろしてみたいと思います。行き当たりばったりのうえ、事情があり画像そのものを貼ることができず地図埋め込みとなりますが、何卒ご了承くださいませ。

前回:一谷嫩軍記 熊谷陣屋 編

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日本振袖始とは

日本振袖始」は、出雲に伝わるスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治伝説を題材とした舞踊劇。近松門左衛門が日本神話を題材とした珍しい作品として有名です。

美しい稲田姫があわやヤマタノオロチのいけにえになってしまうところをヒーローのスサノオノミコトが颯爽と現れて助ける、という明快な物語であり、歌舞伎らしいド派手な演出と義太夫節のドラマチックな味わいによって、心がワクワクと踊るような一幕であります。

さっそく行ってみましょう

この演目のゆかりの地といえばやはり出雲の国であります。8つの頭を持つ大蛇・ヤマタノオロチはお馴染みの伝説ですが、都市化が進んだ今となっては出雲の国の一体どこからヤマタノオロチを発想したのかよくわかりません。

諸説あるうちのひとつとして、氾濫を繰り返して人々に恐れられたうねる大河「斐伊川(ひいかわ)」ではなかろうか、というものがあります。たたら製鉄のため斐伊川の木の周りの木を伐採すると洪水が起こり、砂鉄を取ったことで赤く濁った水が周囲の田んぼを破壊してしまったため、人々に大変恐れられていたのだそうです。

斐伊川は地図で見ますとこのあたりのようです。

現在もうねうねとうねっていますしちょっと流域が広すぎるので、さくらおろち湖という湖の周辺を切り取ってみました。ダム湖でしょうか。ヤマタノオロチゆかりの地はストリートビューに対応していない場所が多いようですが、美しい景色を眺めにまいりましょう。

 

さて。斐伊川が見える場所に降り立ってみました。空が明るいような、暗いような、神秘的な雰囲気です。川には確かにヘビっぽいうねりがあるようです。

 

 

ちょっと…先ほどから画面中央に映っている謎のもやのようなものはなんなのでしょうか…?写ってはいけないものではないのかとドキドキしてしまいます。

 

 

斐伊川のほど近く、右手の山のあたりが「天が淵」と呼ばれるスポットで、「ヤマタノオロチが住んでいた」と伝承されています。なんとヤマタノオロチの足跡と考えられている赤と青の筋がついた石もあるそうです。

 

 

「天が淵」はこのガードレールを超えて降りて行ったあたりにあるようです。残念ながら写真がありません。オロチはここにいたのでしょうか…

 

 

場所を移りまして、この先に「印瀬の壷神」なる場所があるそうですがこちらも写真はありません。日本振袖始の舞台でも描かれている、オロチの飲ませた酒の壺のひとつが置かれていたとされる場所で、巨石の壺が祀られています。

それにしても人家の気配すらないと申しますか、目印がなさすぎませんか…?この先に本当にそんな巨石の祠があるとしたら、ちょっと結構ドキッとしてしまうと思うのですが…

 

 

場所を移りまして、だいぶ人の気配がしてまいりました。

ここは高天原から天降ったスサノオが、斐伊川の上流から流れてきたお箸を見て「川上に人が住んでいるんだな」と思った場所という不思議スポットで、「八岐大蛇公園」という名がついています。

 

 

本当はスサノオの石像が置かれているらしいのですが、ストリートビューでは見えませんで、ヤマタノオロチの後ろ頭だけちょっと見えます。後ろから見ますと龍のような感じなのですね。

 

 

さて、さらに市街地へ出まして、「八本杉」なるものを見物に参りました。

ここは、スサノオがヤマタノオロチの首をはねて土の中にうめ、その上に杉の木を8本植えたと伝わっている場所です。ビルのようににょきにょきとのびていて迫力があります!

 

8本の杉の木と鳥居だけがあるというストイックさにただならぬ気配を感じます!

 

 

最後に、出雲ロマン街道からながめた斐伊川です。美しい風景ですね…!

出雲は神話の地というだけあって、全体的に神秘的なムードが漂っていました。

個人の旅行で巡るのは難しそうですが いつか機会があったらぜひ行ってみたいです!

 

参考文献:出雲観光協会公式ホームページ/出雲浪漫旅

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