歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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第一部「小鍛冶・勧進帳」を見てきました!2021年4月

大阪では新規感染者数が過去最多となった一方、全国ではオリンピックの聖火リレーが始まっているようで、なにやら混乱の日々ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。このすえひろはおかげさまで健康に過ごしております。

先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして四月大歌舞伎の第一部を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。

「滝流し」に感動

第一部は猿之助さんと中車さんの舞踊劇「小鍛冶」と、幸四郎さん弁慶のB日程「勧進帳」であります。人気の猿之助さんがご出演、またB日程は初日ということもあってか、三階席までぎっしりとお客さんが入っていました。やはりにぎにぎしい劇場というのはいいものですね。

 

小鍛冶」は名刀「小狐丸」にまつわる伝説を描いたファンタジックな舞踊で、猿翁十種のうちのひとつです。私はこの演目を今回初めて拝見したのですが、猿之助さんの踊りの素晴らしさ、所作台を踏み鳴らす音の爽快感などはもちろんのこと、演目の題材そのもののおもしろさに夢中になりました。

特に、三條小鍛冶宗近が刀を打ち稲荷明神が相槌を打つ場面は、ガムランのように神秘的で、暗い照明も相まって儀式の様相を呈しており、うなる金属音とリズムに心が躍るようでした。歌舞伎や能といった枠組みや国をも超えたおもしろさがありました。

 

 

拝見した日の「勧進帳」は、弁慶が幸四郎さん、義経が雀右衛門さん、富樫が松也さんという配役でありました。ちょうど松也さんの富樫は初役の初日ということもあり、記念すべき日に拝見できたことをうれしく思いました。

松也さんは最初の第一声こそ緊張感と力みが見えたものの、セリフや表情の端々から菊五郎さんに習ったのだなあということがありありとわかる気迫ある富樫で、安宅の関の緊迫感が感じられました。であるからこそ、「判官殿にもなき人を」のくだりが胸に沁みるのですね。

もっと高めのお声でお勤めになるのではと予想していたのですが、意外に低めの発声で若々しさの中にも重みがありました。初役、歌舞伎座の大舞台、30代半ばというご年齢の富樫と考えますと素晴らしい富樫であったのではと感じましたどうなのでしょうか。劇評を読むのが楽しみです。

 

また今回の幸四郎さんの勧進帳には延年の舞の後に「滝流し」がついていました!2018年の南座の勧進帳を拝見できなかったので念願でした。

花道での視線の動き、幸四郎さんのきらきらとした瞳が水の流れを追っているようで、本当に美しかったです…。その繊細さから一転し、ドドドと流れ落ちる滝を連想させるような壮大な動き、たまらない高揚感でした!とにかくカッコいいの一言です。

日程的に厳しいのですが、できたら後半でももう一度拝見したいと思う勧進帳でした。

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